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第21回 レジ袋から生まれるインドの“社会派”デザイン

2008年5月23日

デザイナー=益田 文和氏


インドのスラム街で
デザインが解決する社会問題

「ソーシャル・アントレプレナー(社会的企業家)」という言葉を最近よく耳にするようになった。現代社会にある課題を、自ら起業した会社の事業によって解決する――これはなかなか魅力的な響きを持っている。

社会貢献とやりがいと、起業という3つを併せ持った力強いイメージ。これに未来の社会をデザインするという「ソーシャルデザイン」を加えれば、独創性とおしゃれな要素も入って、若者がチャレンジしたくなる対象としては、ほぼ完璧だ。

その“ソーシャルデザインによる、ソーシャル・アントレプレナー”の好例が、インドのデリーにある。

conserve(コンサーヴ、資源などを大切にするというような意味)」というNGOで、Anita(アニタ)とShalabh Ahuja(シャラバ・アージャ)が、「ラグピッカー」と呼ばれる人々と行っている事業だ。彼らはスラムに住んでいて、ゴミや廃品を集めるのが仕事である。

ラグピッカーがデリーの街中で集めたプラスチックバッグ(いわゆるレジ袋)は、コレクションセンターに集められ、きれいに洗われたあと、色別に分けられる。それらをデザインに合わせて古紙の上に並べ、熱で圧着すると、腰のある丈夫なシートが出来る。カラフルで、防水性もある。これを小さな工房で裁断し、縫い合わせて製品に加工するのである。

こうして作られた「ラグバッグ」は、資源の再利用を促す一方で、既にスラムの住民100人以上に、廃品回収をはじめセンターや工房での仕事を作り出し、彼らとその家族たちの暮らしの支えとなっている。

アントレプレナー(企業家)の頭に“ソーシャル”という冠を付けるのは、この社会的効果による。とはいえ、それが成功している要因の1つには、商品のデザイン性の高さがあるのは間違いない。

薄いビニール袋を張り合わせることで、しっとりとした透明感のあるテクスチャーが生まれる「ラグバッグ」

薄いビニール袋を張り合わせることで、しっとりとした透明感のあるテクスチャーが生まれる「ラグバッグ」。黒の縁取りやベルトが全体を引き締めている
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デリーの街角でプラスチックバッグを拾うラグピッカー

デリーの街角でプラスチックバッグを拾うラグピッカー
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