第15回 サステナブルな紙という名の展示会
紙を大量に使い捨てる国は
本当に“文化的”か?
去年、久し振りに会った教え子から渡された名刺に、「ぞうさんペーパー」と書いてあった。そのほっくりとした素朴な風合いの紙は、象のウンチをリサイクルした手作りペーパーだという。
セイロン紅茶で有名なスリランカも、ご多分に漏れず森の開発が進んで、野生象の生息圏が狭められている。十分な食糧を得られない象たちは、村に侵入しては人間と衝突して、双方から多くの犠牲者を出す。
ところが、象の糞から紙を作る技術が開発されたことで、その深刻な緊張関係に変化が起きている、ということは雑誌記事で知っていた。村人たちは象を殺すよりその糞を分けてもらおうと、大切にするようになったというのである。
この「ぞうさんペーパー」は、ミチコーポレーションの植田社長がスリランカで経営する工房で作られている。ステーショナリーに加工したものを日本に輸入・販売し、全国の動物園などで好評だという。
――この話は、私と学生たちに、紙と環境について研究するうえで良いきっかけを与えてくれた。

ぞうさんペーパーのノート(撮影/貝塚純一)
紙の消費量は文化のバロメーターだという。紙の生産量と消費量を国単位で見ると、生産量、消費量とも米国が第1位。日本は、去年、中国に抜かれて現在第3位である。だが、中国の国民一人当たりの消費量は45kgと世界平均にも達していないことからすると、日本は、実質的には米国に次ぐ紙の大量生産・消費国であるといえる。
しかし、この消費量は経済規模に比例しているとしても、「文化」という点からすると、どうなのだろう。オフィスで大量のOA用紙を使い、膨大な量の新聞や雑誌や広告が読み捨てられ、包装紙やパッケージが使い捨てられるのが、果たして本当に“文化的”なのだろうか。

ぞうさんペーパーで出来たステーショナリーの最新作。象のオブジェはスリランカ人アーティストの作品で、これもぞうさんペーパーで作られている
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