このページの本文へ
ここから本文です

第15回 サステナブルな紙という名の展示会

2008年2月29日

デザイナー=益田 文和氏


紙を大量に使い捨てる国は
本当に“文化的”か?

去年、久し振りに会った教え子から渡された名刺に、「ぞうさんペーパー」と書いてあった。そのほっくりとした素朴な風合いの紙は、象のウンチをリサイクルした手作りペーパーだという。

セイロン紅茶で有名なスリランカも、ご多分に漏れず森の開発が進んで、野生象の生息圏が狭められている。十分な食糧を得られない象たちは、村に侵入しては人間と衝突して、双方から多くの犠牲者を出す。

ところが、象の糞から紙を作る技術が開発されたことで、その深刻な緊張関係に変化が起きている、ということは雑誌記事で知っていた。村人たちは象を殺すよりその糞を分けてもらおうと、大切にするようになったというのである。

この「ぞうさんペーパー」は、ミチコーポレーションの植田社長がスリランカで経営する工房で作られている。ステーショナリーに加工したものを日本に輸入・販売し、全国の動物園などで好評だという。

――この話は、私と学生たちに、紙と環境について研究するうえで良いきっかけを与えてくれた。

ぞうさんペーパーのノート

ぞうさんペーパーのノート(撮影/貝塚純一)

紙の消費量は文化のバロメーターだという。紙の生産量と消費量を国単位で見ると、生産量、消費量とも米国が第1位。日本は、去年、中国に抜かれて現在第3位である。だが、中国の国民一人当たりの消費量は45kgと世界平均にも達していないことからすると、日本は、実質的には米国に次ぐ紙の大量生産・消費国であるといえる。

しかし、この消費量は経済規模に比例しているとしても、「文化」という点からすると、どうなのだろう。オフィスで大量のOA用紙を使い、膨大な量の新聞や雑誌や広告が読み捨てられ、包装紙やパッケージが使い捨てられるのが、果たして本当に“文化的”なのだろうか。

ぞうさんペーパーで出来たステーショナリーの最新作

ぞうさんペーパーで出来たステーショナリーの最新作。象のオブジェはスリランカ人アーティストの作品で、これもぞうさんペーパーで作られている

バックナンバー

ここから下は、過去記事一覧などです。画面先頭に戻る バックナンバー一覧へ戻る ホームページへ戻る

記事検索 オプション

SPECIAL

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る