第11回 欠けた陶磁器の記憶
土に還らない陶磁器
再生への取り組み
陶磁器は、土から出来ているにもかかわらず、土に還ることはない。
それは、土器が何千年も前の考古学上の遺物を代表するものであることからも明らかだ。1万数千年前のものといわれる世界最古の土器片が日本で発見されているということは、この国でそれほど長いこと焼きものが作られてきたという事実とともに、土器が人工の素材のうち、最も土に戻りにくいものだということを物語っている。
私が教鞭を執る東京造形大学は東京都の西の外れ、八王子市宇津貫町にあるが、十数年前までは高尾山の麓(ふもと)に位置していた。キャンパスを今の場所に新築、移転した当時の遺跡調査では、数基の“登り窯”が見付かり、そこに江戸時代の焼き物工場があったことが分かっている。
日本の歴史は、良質の粘土や陶石を見付けてはそこに窯を作り、陶磁器を焼いてきた歴史でもある。ところが、焼き物に適したこの国の土も、長い年月のうちにあらかた掘り尽くされ、今や陶土は中国から輸入していると聞く。
中国から土を輸入し、焼いては捨て焼いては捨てているうちに、その破片で海が埋め立てられ、日本の国土が広がるのは結構なことではないか……という冗談はさておいて、「このままでは日本の陶磁器産業は駄目になる」という危機感が、世界に先駆けて陶磁器のリサイクルに取り組ませた動機の1つになっているのかもしれない。
再生陶磁器の開発に、最初に着手したのは美濃焼(みのやき)で知られる多治見市にある「グリーンライフ21」という有限責任中間法人だった。「岐阜県セラミック技術研究所」を中心に、陶磁器メーカーや商社などが集う。
試行錯誤の研究開発を経て誕生した「Re食器」は、2001年度のグッドデザイン賞で「エコロジーデザイン賞」を獲得している。

さりげなさが身上の再生陶磁器、「Re食器」

「エコプロダクツ2007」でのグリーンライフ21の展示
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