第1回 インドネシアから届いた木のラジオ
私は、『日経エコロジー』という雑誌の創刊号(1999年7月号)からずっと、表紙を担当している。毎号、表紙で扱う製品を選び、その製品について環境とデザインという観点からコメントを書く。それを続けてまる8年。あと3回で100号だから、いわゆる“エコプロダクツ”を100アイテムも取り上げてきたことになる。
このコラムでは、そんなエコプロダクツの背景について、もう少し紙面を割いて、掘り下げて紹介してみたい。
そもそも「モノ」が生まれる過程には、様々なエピソードや作り手の思いが織り込まれているものだ。そういった背景まで含めてデザインしたい――そんな思いが、現在の私のテーマにもなっている。(詳細は益田氏のインタビュー記事・前編/後編をご覧ください)
このコラムのタイトル、「記憶のデザイン」には、私のそんな思いを込めた。
元々は1994年、アメリカ西海岸のワシントン州シアトル在住の建築家Tom & Barbara Johnsonの呼びかけで始まった、素材のリユースやリサイクルをテーマとするデザインコンペティション「International Design Resource Awards Competition(IDRA)」のテーマ、”Design with Memory” の邦訳である。
「IDRA」は1994年から2003年の間6回にわたって開催され、何100という質の高い提案を世界中から集めた。エコデザインの歴史に残るデザインコンペである。第6回が日本で開催されたときには審査会やセミナー、展示会の開催をサポートするなど、私にとっても縁が深いものとなっている。
そこで今回は、その受賞作の中でもとっておきの“記憶のデザイン”について書くことにする。
それは、森と木にまつわる記憶の物語だ。

第2回「IDRA」(1996~97)受賞作品「radio」、シンギー・S・カルトノ作。素朴で優しい表情だが決して野暮ったくなく、むしろヨーロッパ的な洗練性を感じさせる造形が印象的だ
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