第12回 「本来の日本」を思い出させるおもてなしとは 東京・銀座で異彩を放つ日本旅館を体験
建築中から禁煙に。
旅館に入った途端に“空気が違う”
東京・銀座の大都会に、「自然であること」を大切にしている日本旅館があるという噂を聞きつけました。銀座と自然、銀座と日本旅館。この“ミスマッチ”に、興味がムクムクと湧いてきます。これはエコの匂いがする! 早速、取材してきました。
歌舞伎座、出版社マガジンハウスのビルを通り抜け、おしゃれで近代的な建物が立ち並ぶ通りのどこに日本旅館が!!と思いながら歩いていると……思わず通り過ぎそうになるほど、その場に馴染んで佇んでいる竹造りの玄関が。ここが銀座「吉水」です。

「銀座の通りを歩いていると現れる竹造りの玄関」
一歩中に入ると、そこは異世界と言っても過言ではないほど、風流で落ち着いた空間。通された部屋に入り、腰を落ち着けて1分。明らかに何かが違うんです。アレルギー体質で敏感な僕のマネージャーもびっくり。「空気が違います!」
旅館に入った途端に変わる空気には驚きました。澄み切っていて、座っていると自然に落ち着いてくる。どこに秘密があるのか、おかみさんである中川誼美さんにお話をうかがいました。

「玄関を開け、足を踏み入れると、そこには落ち着く日本空間が」
「すべて天然素材を使っています。そして、建築中から禁煙にしました」
と話すおかみさん。畳は無農薬、壁は珪藻土(珪藻の遺体が海底や湖沼の底などに沈殿してできた堆積物〔大辞泉より〕)で接着剤は不使用。無農薬綿の布団に和紙の障子。ワックスやラッカー、ペンキなどは一切使わず、可能な限り、自然素材の内装にこだわったと言います。自然素材の内装で、こんなに空気が変わるんですねぇ。おかみさん自ら、建材の素材探しをしたと言うから、そのパワーと熱意に驚かされます。
「なぜこのような旅館を」という質問に、おかみさんは即答。
「これが普通じゃないですか」
環境にやさしいということは特に意識せず、日本本来の姿を考えたらこうなったとか。
「日本には古来、化学物質のものはありませんでした。日本は知恵の国だったのに、それをどこで放棄したんでしょうね」
と疑問を呈するおかみさん。
ちなみに、この旅館にはテレビも冷蔵庫もありません。「静かでシーンとした時間、人と人とが語らう時間を感じてほしいから」と言います。取材中も、僕たちの話し声以外は聞こえてきません。銀座でこんなに静かだなんて……。

「とても空気がいいからリラックスできて、取材中も自然に笑みがこぼれます」
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