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自転車も「飲んだら乗るな」

また、年末になると不思議なことに、「逆走自転車」が増える。

これはこの数年の私の実感なのだが、間違いなく事実だ。特に深夜。逆走自転車とは、もちろん車道の右側を通ってくる輩のことで(当然ながら非常に危ない)、困ったことに、この時期「無灯火」「酒酔い」というダブル症状を併発していたりする。

なぜかな、と、私なりにつらつら考えるに、話の構図はこうだ。

忘年会など飲む機会が多いこの時期のこと、クルマで来ると帰れない。警察に捕まりでもしたら(または事故でも起こしたら)、昨今ヒドい目に遭ってしまう。でも、いちいちタクシーで帰るのはお金が掛かる。では、どうすればいいか。おお、そうだ、自転車だ。自転車ならば酔っ払っても安心だし、警察にも捕まらないし、経済的だ。最近の自転車ブームで、通勤に自転車を使うのもそんなに苦にならないことも分かった。おお、そうだ。オレってアッタマいい!

そういう人に会って直接聞いたわけではないが、大まかなところ事実だろう。だからこそ終電が終わったあとに、こうしたバカ自転車は激増するし、こういうことを考えるバカ自転車乗りは必然的に「左側通行? 知らんな」ということになり、逆走となるのだ。無灯火など必然中の必然である。

もちろん言うまでもないことだが、自転車であっても飲酒運転は“タイーホ”だ。法律に違反している、というだけでなく、現実として危険であることも疑いの余地がない。

かくして、そういう輩と同じ路上を走るこちらは大いなる迷惑を被るワケなのだが、昨今、私はそういうバカに注意するのをやめてしまった。以前ならそういう輩とすれ違うたびに「逆に走るな! 自転車は左じゃ! このボケ! バカ! スカタン!」と、非常に丁寧に教え諭していたのだが、この時期のバカは酔っ払っているものだから、罵倒されると時折、逆ギレ&激高して追い掛けてくることがある。もちろん通常で言えばこちらに追いつくはずもない。しかし、酔っ払ってココロのタガが外れているから、異様なパワーを絞り出し、信号無視などを繰り返しながら、執拗にこちらに迫ってくる。まるでスピルバーグ監督のデビュー作のごとくである。ちょっと怖い。

まあ、君子危うきに近寄らずだ。

年が明けたころには、こうした不逞の輩は、自爆事故でも起こしてどこかの病院で寝ているだろうから、それまでの辛抱だと思うことにしよう。

それよりも、むしろこの時期、自らが飲酒運転をしないことを肝に銘ずるべきかもしれない。

もちろん逆走運転・暴走運転もしない。自転車でもやはり「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」なのである。

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疋田 智(ひきた・さとし)

1966年宮崎県生まれ。東京大学文学部卒。毎日往復24kmの通勤に自転車を使う“自転車ツーキニスト”。芝浦自転車研究所主任研究員、NPO法人自転車活用推進研究会理事、学習院大学生涯学習センター非常勤講師。TBS報道局勤務。
 「環境、健康、そして都市再生のために自転車の有効活用を」をモットーに執筆活動を展開。近著は『疋田智のロードバイクで歴史旅』(枻出版社、2008)。
 本人によるホームページ「自転車通勤で行こう

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