冷媒を使わないペルチェ式冷却
キャリークールは簡単にいうと、バッグ型の冷蔵庫みたいなもの。側面に放熱のためのファンがついていて、車載用電源(付属)や、AC電源(別売り)から得た電気の力で、バッグの中の熱を奪う。だから、お店で保冷剤をもらわなくても、生鮮品や飲み物を炎天下でも冷たいまま運ぶことができる。
ただし冷やす仕組みは、家にある冷蔵庫とはちょっと違う。電気冷蔵庫は、冷媒に圧力をかけて気化させたときの気化熱で冷却する仕組み。その冷媒のせいで、冷蔵庫は古くから環境問題の矢面に立たされてきた。
長年、冷媒として使われてきたCFC(クロロフルオロカーボン)などの特定フロンは、オゾン層の破壊が問題になって製造禁止に。代替フロンであるHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)などは、京都議定書で温室効果ガスに指定された。現在は炭化水素ガスなどを冷媒に使うノンフロン冷蔵庫が一般的になっている。
一方、キャリークールは、バッグの中の熱を奪うのに、「ペルチェ効果」という仕組みを利用している。これは、2種類の金属をつなぎ合わせてそこに電流を流すと、電気だけでなく、金属間で熱も移動する原理のこと。つまり、電気を流すことで、一方の金属は熱を奪われ、一方の金属は熱を帯びるようになる。で、この熱の移動を利用して、物を冷やすのが、ペルチェ式の冷蔵庫だ。
気化熱に頼らないから、環境への影響が心配な冷媒がいらない。圧力をかけるためのコンプレッサーもいらない。振動も音もしない。単純な仕組みなので、安く作れる……など様々なメリットはあるが、今のところこの仕組みでは、普通の電気冷蔵庫ほどパワフルに冷却できないのが難点となっている。
そこで、ホテルの客室にあるミニ冷蔵庫や、パソコンの内部の冷却、はたまた振動や乾燥を嫌うワインセラーなどで多く使われている。当然、キャリークールも、家の冷蔵庫のように、ぬるかったものを冷たくするほどの冷却パワーはなし。あくまでも「保冷剤を使わずに、冷たい物を冷たいまま運べるバッグ」と考えるのがよさそうだ。
ところでキャリークールを作ったデバイスタイルホールディングスは、ペルチェ方式のワインセラーを数多く販売しているメーカー。「この炎天下では、お店で買ってから家に着くまでの間に、愛しのワインが変質してしまわないか心配」というワインマニアにも愛用されている商品だという。

キャンプやバーベキューにも大活躍。ただし、エンジンを切って電気が落ちると、ただのクーラーバッグになってしまうのは残念。
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