第13回 「聴診器ブック」の巻
聴診器で、体のなかを探検する旅
「聴診器ブック」(日本実業出版社)がすごいことになっている。
これは医療現場で使われている本物の聴診器と、使い方のガイドブックがセットになった書籍のこと。3月に発売された初版7500部はまたたく間に売り切れ、書店や版元には問い合わせが殺到。現在は4刷目の製作が進められているという。
確かに映画『ミクロの決死圏』を暗記するほど見ている世代には、ヒトの体内を探検することは永遠の夢。あ、知らない人のために。ミクロの体になってヒトの体のなかを旅するというアメリカ映画です。胃液の攻撃と闘ったりするミクロサイズに自分がなるのはイヤだけど、聴診器で聞く音で、その一端でも覗ければ楽しそうだ。
考えてみれば、ヒトの体っていうのは地球が何万年もかけて生んだ、究極のプロダクツ。とうとう聴診器まできた健康ブームっていうのも、環境問題への関心の高まりと無関係じゃない気もする。
―――とか、あれこれ聴診器話で盛り上がっていたある日のこと、とある物知りのおじさん編集者がこうポツンと言い出した。
「実は聴診器は、ちょっとうるさいですよ、私は」
一瞬、聴診器でお腹の音を聞くと、ものすごく大きい音がする特殊な体質でもカミングアウトしたのかと思ったけど、そうではないらしい。聞けば、彼が聴診器に興味を持ったきっかけは、ある医師に取材に行ってからのこと。作家が万年筆にこだわるごとく、その医師はけっこうな聴診器マニアで、実は本題ではなかった聴診器のトリビアを、丁寧にレクチャーしてくれたのだという。

分厚い新書ほどのサイズで、箱には聴診器が入っている。聴診器はチューブを差すだけで、すぐに使えるようになる。
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