第5回 「ペレットストーブ」の巻
進化した薪ストーブ「ペレットストーブ」を見に行く
薪ストーブのある北国の家に、一時期暮らしていたことがある。
犬はストーブの前に寝そべり、私はロッキングチェアに腰掛けて読書にはげむ。薪の弾ける音に自然の恵みを感じながら、ゆったりした時間に心の底から温まる暮らし……。まあ、そんな、アメリカの絵本作家ターシャ・テューダーな生活に胸をふくらませたわけだが、そう甘くはなかった。
まず町で育って、ガールスカウトにも参加したことない私には、薪に火をつけるだけで大仕事だ。小枝や新聞紙や固形燃料や、いろいろな火ダネを総動員しても、太い丸太は簡単に燃えやしない。たいてい木の皮がくすぶって終わり。薪一本燃やすのがこんなに大変なんだから、家一軒なんてとんでもない。図らずも放火犯の苦労まで知ってしまった。
火をつける作業は、寒いのもつらい。火がつかないってことは、まだ暖房がついてないってことだから当たり前だ。そうして30分ほど火と格闘し、凍える寸前になってやっと火がついても、のんびり火を眺めているヒマはそうなかったりする。薪が無駄に燃えすぎないように空気調節をしたり、外に置いてある薪を雪のなか取りにいったり、はたまたストーブにたまった灰を外に捨てに行ったりと、何だかやたらと忙しい。犬は、くべる前の薪をガム代わりにガシガシ噛んで、口のまわりと部屋中を木くずだらけにしているし。
あー、もうやめた!と叫んで、石油ストーブを購入。あっという間に、薪ストーブはティッシュの箱やらふりかけの瓶やらが置かれた、使い勝手の悪い「棚」になった。
それでも冬になると、今もときどき薪ストーブの火を思い出すことがある。もうターシャな生活は諦めたにしても、せめて薪ストーブ(着火済み)の火でカンカンに湧かしたお湯で紅茶でもいれて、火を見ながら暖まりたいなあ、とか。
というわけで。暖冬のせいか、ちょっとだけ寒い日が八甲田山級にものすごく寒い日に感じられたある日、ペレットストーブという、進化した薪ストーブがあると聞いて、専門店に見に行くことにした。

カナダのエンバイロ製のペレットストーブ。30畳のスペースを温め、20kgのペレットを本体にストックできる大容量。「ウェック」では、本体、煙突代、工事費など込みで57万円前後で提供している
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