BIMでヒートアイランド現象の解析を実現
わかりやすさで施主や自治体の投資行動を引き出せる
そこで、環境工学の研究成果を建築設計に生かしたいと考えてきた梅干野教授は、BIM対応の3次元CADである「VectorWorks」に注目。ヒートアイランド現象の解析に必要な建物や地面の物性値などを、3次元CADで設計する建物のモデルにインプットすることにより、精密な解析を可能にするとともに、その解析結果を3次元空間にわかりやすく表示することができるようになりました。
それが、VectorWorksと連動して屋内外の熱環境をシミュレーションする「サーモレンダー」という解析ソフトとして実現したのです。日本発の環境解析用BIMソフトとして、海外からも英語版の登場を期待されています。
初めはBIMの解析ソフトを開発するという意識はなかったのかもしれませんが、建築設計者が樹木の量や建物や舗装の材質などを変えて、その結果をわかりやすく表示できるようにして、環境工学を建築計画に生かすことを考えた結果が、BIMに行き着いたという解釈もできます。

住宅地の緑化と大気への顕熱負荷を解析した例。一面芝地は放射冷却作用により、夜間のヒートアイランドポテンシャルがマイナスになっている
サーモレンダーのようなソフトの登場によって、建築設計者は自分が設計した建物や街並みの熱やCO2排出量などの解析が従来に比べて飛躍的にスピーディー、かつ正確に行えるようになってきました。しかし、その解析結果を見て、どのように設計を改善したり、環境負荷を減らしたりできるかは、設計者自身の光、熱、空気、音などの理解度にかかっています。
BIMによって、建築設計者は環境工学の成果を手軽に使いこなし、環境と建築設計を一体化することができるようになりました。現在は環境改善に対する施主の関心も高まり、環境改善に対する投資も以前に比べてずっと現実的になっています。
樹木を街路に植えたり、建物の形を変えたり、舗装の材質を変えたりすることは、もちろん、コストが上昇する要因になりますが、その結果、どのように街の気温が下がり、消費エネルギーやCO2排出量が減るかをわかりやすくプレゼンテーションすることで理解を得られれば、街や地球の環境を甦らせるための投資に対する意思決定を引き出すこともできるのです。

住宅地に高木を増やすと、気温が下がる場所が増えるのが一目瞭然でわかる。こうしたわかりやすいシミュレーション結果を建築家が施主や自治体に提示することが、環境改善への投資を引き出すきっかけとなり、ひいては地球の環境を甦らせることにつながっていく
詳しくは、こちら「ケンプラッツ イエイリ建設ITラボ」でご覧になれます。

上記の記事「第10回 BIMで甦る地球の環境!日本の環境工学と建築計画を融合させよう」は、『ケンプラッツ イエイリ建設ITラボ』に掲載された記事です。
『イエイリ建設ITラボ』は、新しい時代の建築、土木、不動産の実務におけるIT活用はどうあるべきかを未来志向で考えるサイト。3次元CADやビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)、デジタルカメラやモバイル機器などのソフト、ハードの活用や最新技術の動向などの情報を提供しています。
『イエイリ建築ITラボ』のコンテンツや最新号の記事は、こちらからでご覧いただけます。
また『イエイリ建築ITラボ』のあるケンプラッツは、建築・土木・不動産分野をカバーし、製品、技術、サービスの最新情報を発信するサイトです。プロジェクト、市場動向、事件・事故、不動産売買の領域では、ここでしか読めない情報も多数、掲載しています。上記の『イエイリ建築ITラボ』に加えて、利用者の視点で編集した『マンション管理新時代』『オフィス・アイ』などのテーマサイトを運営し、7種類のメールサービスを提供しています。
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- 第10回 BIMで甦る地球の環境!日本の環境工学と建築計画を融合させよう (2008/08/05)
- 第9回 竣工後のCO2削減はBIMモデルの作り方にかかっている (2008/07/29)
- 第8回 環境建築は概念設計から!設計者の報酬はこれまで通りでいいのか (2008/07/22)
- 第7回 7年半でコスト回収!イベント会場で太陽光、自然換気、再生水を生かす (2008/07/15)
- 第6回 環境建築の大学間コンテスト「ソーラー・デカスロン」の白熱 (2008/07/08)

