第10回 BIMで甦る地球の環境!日本の環境工学と建築計画を融合させよう
別々に発展してきた環境工学と建築景観をBIMで合体
複雑な熱環境の解析には3次元モデルが不可欠に
現在の日本の建築設計は、意匠と設備、構造というように分かれて、分業体制になっています。その結果、意匠設計者に光、熱、空気、音を扱う「環境工学」の知識がないことも多いのが現状です。
その結果、太陽エネルギーをうまく活用したり、断熱や通風を上手に行ったりしてエネルギー消費やCO2排出量の少ない建物を設計することができなくなっているのです。
こうした問題を解決しようと、東京工業大学大学院総合理工学研究科環境理工学創造専攻の梅干野晁(ほやの・あきら)教授は、環境工学の技術を、BIMによって建築設計者が手軽に利用できるようにした熱環境解析ソフト「サーモレンダー」を開発しました。
「以前の建築教育にあった設計原論には、建築計画と環境工学の両方が含まれていました。ところが昭和30年代の高度成長期に、環境工学と設備が合体して建築計画とは別々に発展してきました」と梅干野教授は説明します。

熱環境解析ソフト「サーモレンダー」を開発した東京工業大学の梅干野晁教授(左)と、大学院生として開発に取り組んだ特別研究員の中大窪千晶さん
環境工学は本来、建築設計に役立つべきものですが、両者の間の溝は大きく、深くなっていきました。環境工学の研究は大きく発展を遂げましたが、その成果をいかに建築計画の人に使ってもらうかという意識が希薄なこともあって「論文をまとめても設計用の資料ができない」(梅干野教授)という状態が続いていました。
太陽光に照らされた建物や地面が、どのように熱を持ち、熱伝導や放射などで温度の状況が変わっていくかといったヒートアイランド現象や建物の空調エネルギー解析を行うためには、もはや従来のような紙の設計資料をめくって材料物性を調べて手計算で行うことは、現実的に不可能です。
建物を構成する屋根や壁などの部材の材質や厚さ、大きさや向き、角度など、複雑な3次元形状に、季節や時刻で刻々と変わる太陽光線の向きを考慮しながら、熱の挙動を解析するのは建物の3次元モデルに基づいたコンピューターシミュレーションがどうしても必要になってきます。

複雑な建物の形状、材質、太陽光の条件を反映した熱環境の解析には、建物の3次元モデルの活用が不可欠だ(以下の画像:東京工業大学梅干野研究室)
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