
福岡水素エネルギー戦略会議の顧問を務める福岡県知事の麻生渡氏
燃焼時はもちろん、燃料電池を用いた発電時などにもCO2を排出しないクリーンなエネルギーとして注目が集まる「水素」。その最先端の研究成果や取り組みなどを紹介する「 」が、2010年2月3〜4日に福岡市で開催された。23カ国から450人が参加したこのフォーラムでは、産学官連携で水素研究と関連産業集積を進める福岡県をはじめ、カナダやドイツなどの関係者が海外の事例を紹介。地球温暖化対策において水素が持つ可能性を改めて実感させるものとなった。
フォーラムではまず、産学官が連携して水素エネルギー社会の実現を目指す「福岡水素エネルギー戦略会議」の顧問を務める福岡県知事の麻生渡氏が、「福岡水素戦略〜Hy-Lifeプロジェクト〜」と題して講演。同氏は福岡県を「国内で水素研究が最も進んだ地域」と紹介し、その理由として地元の九州大学が文部科学省の「21世紀COEプログラム」で水素分野を担当し、豊富な水素研究設備を整えていること、県北部の新日鉄八幡工場から年間5億m3の副生水素が得られること、産業化の実現を支援する多彩な製造業が集積していることを挙げた。
それらの利点を背景に、産学官共同で2004年に設立したのが福岡水素エネルギー戦略会議で、「研究活動」「実証活動」「人材育成」「情報拠点構築」「新産業育成・集積」の5つの活動を展開している。研究活動の面では、産業技術総合研究所が九大キャンパス内に「水素材料先端科学研究センター」を設立し、九大だけでなく海外からの技術者と共同で水素関連技術の研究を進めていることを紹介した。
また実証活動では、家庭用燃料電池150台を、福岡市のベッドタウンである前原市の住宅地に集中的に設置した「福岡水素タウン」や、工場から得られる副生水素をパイプラインで住宅や公共施設に供給する北九州市の「北九州水素タウン」などの活動を通し、必要なデータの収集を進めているという。福岡市内の九大と北九州市には、それぞれ自動車用の水素供給ステーションを設置し、両ステーションの間で燃料電池車や水素エンジン車を走らせ、水素を動力源とする自動車開発のための実験を進めていることも紹介した。
新産業育成・集積の面では、2010年3月完成を目指して現在建設中の「水素エネルギー製品研究試験センター」で、検査受託サービスを提供する計画だ。試作品の安全性や性能などを評価する施設で、「海外の試験機関に高いコストをかけて、情報漏えいの危険性を気にしながら検査を依頼する必要がなくなる」(麻生氏)という。そのほか、新たな試験方法の開発や、バルブや継ぎ手など関連部品の共同開発などを通じて、水素関連産業の集積を目指す方針だ。
麻生氏は「福岡は歴史的にもアジアとの交流が深いなど、あらゆるものを受け入れるオープンな都市。その気質で優秀な研究者や成長を目指す企業を受け入れ、サステナブルな文明づくりに貢献していきたい」と語った。