東芝、東京電力、日産自動車、日立製作所、NECなどは、それぞれに横浜市の「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」の一環として、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援事業「蓄電複合システム化技術開発」に採択された実証研究を実施。スマートグリッド(次世代送電網)技術で重要な役割を担う蓄電池システムに関する、さまざまな研究開発を進める。
同プロジェクトの統括責任幹事会社である東芝は、共通のインターフェースを備えながら各利用状況に応じた機能を持つ蓄電池システムを開発する「需要側蓄電システムの統合化技術開発」のほか、東電や日立、NECなどとの共同研究2件、合計3件の研究開発を実施する。
東芝、東電、日立、NECなどによる共同研究「リチウムイオン電池システムインターフェース標準化・海外展開の研究開発」では、仕様や性能が異なるリチウムイオン電池システムを、再生可能エネルギーの大量導入対策として電力系統で運用するため、各電池システムの定格出力・定格容量・充電状態などの情報を把握するインターフェースを標準化。同時に、海外市場でのリチウムイオン電池システムの事業展開を目指し、市場調査、分析、戦略の検討も実施する。
東電は単独で、ナトリウム硫黄(NAS)電池を用いた「需要家設置の既設大容量蓄電池による系統対策への活用可能性評価・システム標準化の研究開発」も実施。負荷の平準化を目的に96カ所・18万kW分を設置しているNAS電池のうち、大規模工場、大規模商業ビル、大規模ショッピングセンターの3カ所に周波数変動対策機能を追加し、再生可能エネルギーを大量導入した際の電力系統の周波数変動問題を解決する対策を検証する。

「横浜スマートシティプロジェクト」のマスタープランの表紙(資料:横浜市)
日産、日立などは、「放電対応EV(電気自動車)を用いたエネルギーマネジメントシステム」の技術開発も実施する。EVの車載蓄電池を、将来的に電力貯蔵可能な社会インフラの一つとして、家庭および地域社会で活用するためのもの。日産はEVの蓄電池から家庭やビルなどに放電が可能となる通信制御を含めた技術を開発する。日立は太陽光発電と蓄電池を利用した「エコ充電システム」と、EVとも連携させたエネルギーマネジメントの開発を担当する。
NECは、「リチウムイオン電池を使ったビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)」も、明電舎と共同で開発する。このBEMSは、EV用電池に採用されているNECのリチウムイオン電池技術を使った大容量蓄電システムと、明電舎のBEMSのノウハウを融合。大型オフィスビルや工場に数百kWh規模の大きな蓄電池を設置し、電力会社からの供給電力と自家発電の電力を状況に応じて最適利用できるよう、管理・制御する。電力利用の効率化でCO2(二酸化炭素)削減に貢献する。
YSCPは、同市が民間企業とともに経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証地域」に応募して選定された事業。これらの実証実験は、いずれも同市が同省に8月に提出したマスタープランを実施する関連提案と連携し、進めていく。