、地球温暖化問題を解決するために、金融を変え、お金の流れを変えようとする動きを紹介した。金融機関に対し、環境を破壊し温暖化を進めるようなビジネスではなく、環境を守るためのビジネスにもっと投融資してほしいという社会からの声である。
その社会の声を代弁してきたのが、NGO(非政府組織)だ。近年、環境、貿易、人権など、さまざまな国際問題や地球規模の問題におけるNGOの活躍は目覚ましく、今や国際社会はNGOなしでは成り立ち得ないとまで言っても、決して過言ではないのだ。
NGOの歴史は、国連の誕生にまでさかのぼる。ご存じの通り、国連は加盟国の中央政府の集まりだ。つまり、「Governmental Organization」である。その目的は紛争や戦争、さらには災害や貧困などなど国際社会が抱える問題の解決にある。とは言え、世界の多様な問題を解決するには、政府の力だけでは解決できない。政府とは異なる立場の人の意見も聞き、力を借りる必要がある。そこに気付いた国連は、「Non-Governmental Organization」という概念をつくり、そのNGOとの連携を求めることで、より効果的な問題解決を図ってきたというわけである。市民社会の声を世界の政策に反映させることを考えた、大変素晴らしい仕組みだと思う。
さまざまな問題が発生し、しかも深刻化が止まらない世界では、NGOの存在感は時を追うごとに大きくなっている。今やNGOなしの世界は考えられないほどだ。かつて、ビル・クリントン元大統領が退任後のインタビューで、「20世紀はどういう世紀だったと思うか」と聞かれて、「NGOやNPO(非営利組織)が台頭した世紀」と答えていた。その通りだと思う。NGOは政府や企業とともに、世界を動かす存在となっているのだ。
注)NGOとNPOは、あまりはっきりとは使い分けられていないようだ。NPOの方が一般的のようだが、NGOもNon-profitであるからNPOであることには違いはない。世界的問題など、より広範囲な問題を扱う組織をNGOと呼び、国内や地域、あるいはサークル活動などを扱う組織をNPOと呼んでいるケースが多いようだ。
NGOの力を示す事例は数多くある。最も影響が大きかったのは1999年、米シアトルで開かれた世界貿易機関(WTO)閣僚会議。NGOに労働組合、市民などが加わり、「反グローバリズム」を掲げて大規模な抗議デモを繰り広げた結果、WTOは中止に追い込まれた。一部の市民が暴徒化するなど、問題も多かったが、もはやNGOの要求を無視し続けていては、どんな国際会議も成立しないことを示す象徴的な出来事となった。