旧宅を建て替えて2009年8月に完成した藤田一郎さんの新居は、1年で最も寒いといわれる大寒の頃にあっても、ほどよく暖かい快適な空間が保たれている。冷たく乾燥した外気にさらされて硬直した身体も、一歩、玄関の中に入れば、やさしい暖気につつまれながら解きほぐされていくようだ。
藤田さん一家は、夫の一郎さん、妻の由里子さんと、高校1年生、中学1年生、小学6年生の3兄弟で構成される5人家族。延べ床面積250m2の邸宅内は、加湿や除湿、換気や空気清浄機能も含む全館空調システムが24時間稼働し、年間を通して室温を19〜21℃程度に保ちながら、過乾燥を防ぐことができる。加えて、十分な採光を考慮した建築デザインや床暖房設備、複層ガラスの窓も採用した高断熱・高気密な構造なども、快適な空間づくりに寄与している。リビングやダイニング、寝室はもちろん、浴室、さらには玄関や廊下にいたっても、寒さを感じることがない。
全館空調というと、光熱費がかさむのではないかと想像してしまうが、実は藤田さん宅では、その逆の現象が起きている。新居においては、「電気料金が、以前と比べて4分の1程度にまで削減できた」というのだ。
こうした電気料金の大幅な削減に一役買っているのが、家庭用燃料電池コージェネレーション(熱電併給)システム「ENE・FARM(エネファーム)」である。エネファームは、都市ガスから水素を抽出して、それを空気中の酸素と反応させることで発電し、併せて、その際に発生する熱を利用してお湯もつくる。発電機器から使用機器までの距離が短いので、電力会社から供給される系統電力のような送電ロスはほとんどない。しかも、発電時の排熱も有効利用できるので、エネルギーの利用効率が高く、環境配慮効果の高い設備システムといえる。
藤田さん宅では現在、「電気使用量の約4割をエネファームの発電によって賄うことができる。エネファームでつくったお湯は、台所やお風呂で無駄なく利用している」という。
■ ケーススタディー「創エネで変わる住まいと暮らし」