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林業関係者には今年はちょっとうれしい年になるかも知れません。これまで一貫して下落を続けてきた木材自給率が、若干ですが上向きそうだからです。1960年代当初は90%以上あった自給率は、64年の木材輸入自由化を境目に低下の一途をたどり、2000年には18.2%にまで落ち込みました。それが、今年は20%台を回復する見込みです。
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| 木の精をタイムマシンに見立てたキャラクター「きこりん」 |
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林野庁は森林の機能として洪水などの災害防止、水源かん養、生物多様性保全や地球温暖化防止などを挙げ、国民の経済や生活の安定に欠くことのできない「緑の社会資本」と位置づけています。
しかし、輸入木材に押され、国産材の需要が減ると、山林の経済価値は下がり、森林の成長に応じて木を間引く間伐さえ十分にできない状態になってしまいました。森が荒れれば森林の持つ多様な機能も損われます。人手が加わらないことで、森林は危機に瀕しているわけです。
状況を危惧した林野庁では国産材の利用促進策を進め、その甲斐もあって自給率は上向き始めました。最近は社会貢献活動として森林の整備や植林に取り組む企業も増えています。しかし、日本の森林が元気を取り戻すには、やはり経済価値を回復し、植林と伐採の良好なサイクルを確立することが望ましいはずです。
そこで、住友林業を訪ねました。近年、国産材の利用を増やしていると聞いたからです。それに、最近見かけるCMも気になっていました。キャラクター化された木の精が、タイムマシンのように時間を超えて地球環境や人の生活を見つめているイメージに消費者がどう反応したのかに関心を持ちました。
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住友林業は木造住宅の大手ですが、植林から建材開発、住宅販売までを一貫して手がけているのが、ほかの住宅メーカーと異なる特徴です。
国産材比率については昨年投入した「マイフォレスト」シリーズの場合で50%にのぼります。北海道地域での販売分に限れば100%。国産材利用がこの新シリーズの大きな特徴というわけです。
「国産材の利用拡大のカギは技術力」と広報グループマネージャーの佐野惣吉さんは言います。建材に適した木材を大量に国内で調達するのはコスト面や品質確保の面で難しさがありました。そこで同社が注目したのは、森林整備の際に発生する間伐材やそのままでは建材に使えない小径木などです。これらを粉砕して固めた集成材を建材に使う工夫を重ねてきました。その成果のひとつである「スーパー檜」の強度や品質はムク材に勝るほどだといいます。
ところで、こうした努力に対する消費者の反応はどうなのでしょうか。日本の森林が元気を取り戻せるかどうか、ここはポイントです。
しかし、営業企画部販促チームマネージャーの磯村敦さんの答えは「国産材に対する消費者の反応はもうひとつ」というものでした。
では、わざわざ国産材を増やす理由は何でしょう。「企業理念である“保続林業”の実践の一つ」だと広報の佐野さんは説明します。保続林業とは永続的に植林と木材生産を繰り返すことを言うそうです。それが住友林業の伝統であり、ブランドの要ということなのでしょう。
住友の歴史にとって林業は特別な意味があります。
後に巨大グループを形成する住友の基盤は元禄時代に開坑した愛媛県の別子銅山にありました。明治に入り近代技術の導入で増産態勢がとられますが、このときの煙害が、周囲の農作物や森林に壊滅的な打撃を与え、農民暴動にまで発展します。事態の収拾を図るために別子銅山の支配人に赴任した伊庭貞剛(後に住友本店総理事)は、目先の企業利益を度外視して、製錬所の移転と、世界に例を見ない大規模な植林事業を決意しました。この別子山の森林復元事業が現在の住友林業の出発点なのです。いわば住友が環境問題や社会的責任に向き合った原点が保続林業の理念に受け継がれていると言えそうです。 |
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| 3階建て木造住宅の構造躯体。住友林業の住宅は、日本の伝統的工法である木造軸組工法で建てられる。設計技術の向上などで耐震性など強度もツーバイフォーなどほかの工法に劣らない |
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| 愛媛県新居浜市別子山の社有林。別子銅山の煙害で破壊された山林の再生が、今日の住友林業の事業の原点。 |
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