異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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大学発ベンチャーの挑戦-3

早稲田環境研究所の広い業務展開
「ゼロから1」に商機を見いだす

取材・文/増谷茂樹 タイトル写真提供/早稲田環境研究所
2010年9月16日(木)公開
個別の商品やサービスにこだわらない

 「大学発ベンチャー企業」というと、研究成果や技術をベースに、特定の分野に特化した事業を展開するのが一般的だが、早稲田大学発のベンチャー企業である早稲田環境研究所(東京都新宿区)は、低炭素社会の構築に向けたコンサルティング業務を始め、環境対応型モビリティーや省エネに関するシステムやソフトウエアの提供、人材の育成など幅広い商品やサービスを展開している。コンサルティング業務で対応している分野についても、改正省エネ法(正式名:エネルギーの使用の合理化に関する法律)への対応から廃棄物やリサイクルに関するもの、製品の製造・流通・廃棄といったライフサイクル全体を通して環境負荷を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)までと幅広い。

 「あえて手広くやっていて、個別の商品やサービスに固執していないところが、ほかの大学発ベンチャー企業とは異なる部分であり、私たちの事業がうまくいっている理由でもあると思う」と語るのは、同社の代表取締役であり早稲田大学環境総合研究センター准教授でもある小野田弘士氏だ。

 早稲田環境研究所の設立は2003年の8月。LCAの研究で有名な早稲田大学永田勝也教授の研究室の出身である小野田氏が、LCA解析のためのソフトやそれを製作するためのノウハウが実業に役立つと感じて起業した。「大学の研究で使っているソフトを、そのまま商品化することは難しいが、そのベースとなるノウハウは実業に生かせる」(小野田氏)と考えたという。

早稲田環境研究所の代表取締役である小野田弘士氏
早稲田環境研究所の代表取締役である小野田弘士氏。専門は、エネルギーマネジメント、環境配慮設計、LCAなど。すみだ次世代モビリティ開発コンソーシアムの事務局長も務める(写真提供:早稲田環境研究所)

 そのノウハウは、ウェブサイト上でエネルギー消費の「見える化」ができるエネルギー・モニタリングシステムや、家庭での二酸化炭素(CO2)削減をゲーム感覚で楽しめる「シロクマランド」というウェブサービス、改正省エネ法対応ソフトの「省エネ顧問」などに活かされている。しかし、小野田氏は「こうしたソフトを売ることが、われわれの仕事のすべてではない」と言い切る。「例えば、省エネ法が改正される際に、企業が本当に必要としているのはソフトではなく相談相手。そこできちんと相談に乗り、問題点がどこにあるかを見極めた上でソフトを勧める。ソフトを売り込むだけでは問題は解決しないし、他社との価格競争になってしまう」。そうならないためにも、「このソフトを売らなければ、会社の商売にならないという状況にしないこと」だと小野田氏は続ける。

 同社の考え方がよく現れている事例の一つが、環境対応型モビリティーについてのプロジェクトだ。これは、「自転車以上自動車未満」をコンセプトに開発された1人乗りの超軽量電気自動車「ULV」を用いて、環境に配慮した都市づくりや地域の活性化を目指すというもので、早稲田大学と墨田区、区内の中小企業がメンバーとなる「すみだ次世代モビリティ開発コンソーシアム」の名前で進められている。産官学連携のこのプロジェクトで、同社はコーディネーター役を務めている。「これも、単にULVを売ることが目的ではない。この乗り物が普及する必然性を作るのがわれわれの仕事です」と小野田氏は話す。
 

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「ゼロから1」に商機を見いだす

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