異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

ECOマネジメントサイト終了のお知らせ
当サイトは、3月31日をもちまして終了することになりました。ご愛読いただきました皆様に感謝いたします。当サイト連載中の主要コラムにつきましては、4月以降、日経BP社の環境ポータルサイトであるECO JAPANで引き継ぎ公開いたします。
ECO JAPAN
コンテンツ
特集
リポート
インタビュー
コラム
人と自然
フロントランナー
ECOラボ

 
テーマで読み解く環境問題
温暖化国際交渉、COP16の意義
今回のテーマ
温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
関連キーワード

特集

大学発ベンチャーの挑戦-3

早稲田環境研究所の広い業務展開
「ゼロから1」に商機を見いだす

大学への豊富なフィードバック

 「ULV」と同様の手法は、ほかの分野でも応用できる。「例えば、家庭でのCO2削減は、ゲーム感覚でできることが重要だと考えているが、そのゲームを作るのがわれわれである必要はない。面白いゲームを作る技術を持った会社はいくらでもあるので、そこにお願いすればいい。われわれは、LCAの研究を通じて、CO2削減をゲームにするためのパラメーターが何であるのかが分かっているので、それを生かせる相手を探すだけだ」(小野田氏)。さまざまな仕事を手掛けているように見える同社だが、それらの活動のベースになっているのは、やはり大学という研究機関で得ることのできる技術でありデータなのだ。

 大学には、最先端の技術や知識が蓄積されている。大学発ベンチャー企業には、本来、それを製品化し普及させることが求められるはずだが、必要以上に技術や知識を囲い込んでしまったり、苦手な分野に手を広げ行き詰まる例も多い。「私たちの仕事は、ゼロから1を創り出す部分。その1を10にしたり100にしたりするのは、得意な人に任せておけばいい」という小野田氏の言葉には、大学発ベンチャー企業に必要な業務に対する割り切りがよく現れているといえる。

 大学が最先端の研究を続けるためには、研究費が必要だが、政府などからの補助金は減少傾向にあり、大学は自ら研究費を工面しなければならない状況にある。そのためのフィードバックも同社では行っており、LCAに関わるソフトやシステムの開発などは、同社が大学へ発注している。また、実業の現場で得た情報の提供も行っている。同時に、同社が力を入れているのは、人材育成を通じたフィードバックだ。企業経営者でもある小野田氏が、准教授として教壇に立つことで、研究の成果を実業につなげるためのポイントや、企業がどんな人材を求めているかを学生は知ることができる。

 現在、CO2を削減するための技術は数多く出そろってきており、今後はそうした技術を企業や家庭にいかに普及させていくかに力点が移りつつある。そうした現状を小野田氏は、「薬はあるが処方せんを書ける医者がいない状態」と表現する。そして同社では、「処方せんを書く人材」の育成に力を入れている。早稲田環境研究所の幅広い業務展開が物語るように、一つの研究成果や技術に固執することなく、たくさんの選択肢から最適な答えを導き出すことのできる幅広い視野を持つことが、これからの大学発ベンチャー企業に求められる姿といえるのではないだろうか。
 

幅広く事業を手掛ける早稲田環境研究所だが、事業の核になっているのは大学での研究成果。また、事業で得た現場でのノウハウなどは、早稲田大学へフィードバックしている

幅広く事業を手掛ける早稲田環境研究所だが、事業の核になっているのは大学での研究成果。また、事業で得た現場でのノウハウなどは、早稲田大学へフィードバックしている(資料提供:早稲田環境研究所)
 

前ページ前ページ
 1   2   3 
次ページ次ページ
▲このページのトップ | HOME
松本龍・環境大臣 松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16)
経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏 経済産業省 大臣官房審議官
有馬純氏(10/08/16)
ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏 ピュー気候変動センター 国際戦略部長
エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25)
経済産業副大臣 増子輝彦氏 経済産業副大臣
増子輝彦氏(10/01/25)
ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長、テッド・ノードハウス会長 ブレークスルー研究所
マイケル・シェレンバーガー所長
テッド・ノードハウス会長(09/12/21)
各コラムニストの掲載記事一覧をご覧いただけます  
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』 伊藤洋一の
『BRICsの衝撃』
植田和弘の『地球温暖化防止の環境経済学』 植田和弘の
『地球温暖化防止の環境経済学』
沖大幹の『水の惑星の未来』 沖大幹の
『水の惑星の未来』
荻本和彦の『低炭素エネルギーシステムの将来像』 荻本和彦の
『低炭素エネルギーシステムの将来像』
澤昭裕の『不都合な環境政策』 澤昭裕の
『不都合な環境政策』
筒見憲三の『カーボンマネジメント講座』 筒見憲三の
『カーボンマネジメント講座』
寺島実郎の『環境経済の核心』 寺島実郎の
『環境経済の核心』
十市勉の『資源Wars』 十市勉の
『資源Wars』
鳥井弘之の『ニュースの深層』 鳥井弘之の
『ニュースの深層』
中上英俊の『暮らしとエネルギーと温暖化』 中上英俊の
『暮らしとエネルギーと温暖化』
西山孝の『資源クライシスの深層』 西山孝の
『資源クライシスの深層』
野村浩二の『ポスト京都の経済インパクト』 野村浩二の
『ポスト京都の経済インパクト』
増田寛也の『低炭素City』 増田寛也の
『低炭素City』
御園生誠の『キーテクノロジー』 御園生誠の
『キーテクノロジー』
山口光恒の『地球温暖化 日本の戦略』 山口光恒の
『地球温暖化 日本の戦略』
山根一眞の『The環業革命』 山根一眞の
『The環業革命』
山本隆三の『市場が解く? 地球温暖化』 山本隆三の
『市場が解く? 地球温暖化』
   
 
荻本和彦氏のコラム

この記事の目次
大学発ベンチャーの挑戦-3
早稲田環境研究所の広い業務展開
「ゼロから1」に商機を見いだす

CO2削減技術 省エネルギー

エネルギー消費 建築物/交通・運輸/家庭部門