異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

ECOマネジメントサイト終了のお知らせ
当サイトは、3月31日をもちまして終了することになりました。ご愛読いただきました皆様に感謝いたします。当サイト連載中の主要コラムにつきましては、4月以降、日経BP社の環境ポータルサイトであるECO JAPANで引き継ぎ公開いたします。
ECO JAPAN
コンテンツ
特集
リポート
インタビュー
コラム
人と自然
フロントランナー
ECOラボ

 
テーマで読み解く環境問題
温暖化国際交渉、COP16の意義
今回のテーマ
温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
関連キーワード

特集

2010年、環境政策への提言-4

新たなエネルギー安全保障問題
コストを意識し低炭素化に挑む

文/十市勉氏 日本エネルギー経済研究所 専務理事・首席研究員
2010年1月25日(月)公開
理想主義アプローチの限界

 2010年のエネルギー・環境政策を見通すに当たっては、昨年の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)を振り返る必要がある。デンマークのコペンハーゲンで開催されたCOP15では、政治合意文書の採択は見送られ、「合意に留意する」との結果を得るにとどまった。ここで得られた最大の教訓は、「京都議定書型のトップダウン方式で、世界の温室効果ガス(GHG)排出量に規制をかけることは極めて困難である」ということだ。

 1997年の京都(COP3)でできたことが、なぜコペンハーゲン(COP15)ではできなかったのか。それは、97年から2009年までの間に、中国やインドなど新興国が目覚しい経済発展を遂げ、世界における地政学的な力関係が大きく変化したからだ。

 現在は、「G2」と言われるように、多くの国際交渉で米中が主導する場面が増えてきた。また、従来は「途上国」の一言でまとめられてきた国々が多様化し、それぞれ異なる立場から意見を表明するようになってきた。従って、国際会議の場が「先進国対途上国」というような単純な構図ではなくなっている。今回のCOP15においても、それが如実に表れた格好だ。

 中国やインド、ブラジル、それに南アフリカといった経済的発展を遂げている新興国は、排出量削減目標の義務化に対しては、自国の成長を優先させるため、結束して徹底的に反対している。

 新興国以外の途上国は、先進国に対して援助の拡大を要求するという点では新興国と一致しているが、これまでの援助が新興国に奪われているという意識が強いため、結束は一枚岩ではない。

 また、中東の産油国は、過剰な温暖化対策の義務化が石油やガスの需要を低下させるとして、強い警戒感を持っている。

 そして、ツバルのような島しょ国は、物理的に国土を存続させるため、先進国に対して2020年には90年比で45%もの排出量削減を求めている。

 これら途上国から攻められる一方の先進国側についても、米国が京都議定書を批准しておらず、足並みがそろっているとは言えない。

 こうした現状から、国連に加盟する193の国の思惑を一致させるのは難しい。京都議定書で実施されたトップダウン型の理想主義的なアプローチは、今後通用しなくなるだろう。
 

前ページ前ページ
 1   2   3   4   5   6 
次ページ次ページ
▲このページのトップ | HOME
松本龍・環境大臣 松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏 環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16)
経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏 経済産業省 大臣官房審議官
有馬純氏(10/08/16)
ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏 ピュー気候変動センター 国際戦略部長
エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25)
経済産業副大臣 増子輝彦氏 経済産業副大臣
増子輝彦氏(10/01/25)
ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長、テッド・ノードハウス会長 ブレークスルー研究所
マイケル・シェレンバーガー所長
テッド・ノードハウス会長(09/12/21)
各コラムニストの掲載記事一覧をご覧いただけます  
伊藤洋一の『BRICsの衝撃』 伊藤洋一の
『BRICsの衝撃』
植田和弘の『地球温暖化防止の環境経済学』 植田和弘の
『地球温暖化防止の環境経済学』
沖大幹の『水の惑星の未来』 沖大幹の
『水の惑星の未来』
荻本和彦の『低炭素エネルギーシステムの将来像』 荻本和彦の
『低炭素エネルギーシステムの将来像』
澤昭裕の『不都合な環境政策』 澤昭裕の
『不都合な環境政策』
筒見憲三の『カーボンマネジメント講座』 筒見憲三の
『カーボンマネジメント講座』
寺島実郎の『環境経済の核心』 寺島実郎の
『環境経済の核心』
十市勉の『資源Wars』 十市勉の
『資源Wars』
鳥井弘之の『ニュースの深層』 鳥井弘之の
『ニュースの深層』
中上英俊の『暮らしとエネルギーと温暖化』 中上英俊の
『暮らしとエネルギーと温暖化』
西山孝の『資源クライシスの深層』 西山孝の
『資源クライシスの深層』
野村浩二の『ポスト京都の経済インパクト』 野村浩二の
『ポスト京都の経済インパクト』
増田寛也の『低炭素City』 増田寛也の
『低炭素City』
御園生誠の『キーテクノロジー』 御園生誠の
『キーテクノロジー』
山口光恒の『地球温暖化 日本の戦略』 山口光恒の
『地球温暖化 日本の戦略』
山根一眞の『The環業革命』 山根一眞の
『The環業革命』
山本隆三の『市場が解く? 地球温暖化』 山本隆三の
『市場が解く? 地球温暖化』
   
 
荻本和彦氏のコラム