異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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2010年のエコプロダクツ-2

高いエネルギー自給率を実現
エコスカイハウスの実力を検証

取材・文・写真/北原まどか
2010年1月14日(木)公開
エネルギー自給率97%の実験住宅

 昨年は、住宅にかかわる基準や法改正が数多く行われた。1月には「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断と基準」「同設計及び施工の指針」(通称、次世代省エネルギー基準)が改正され、断熱性能をより高めるための新しい基準が定められた。続く6月には、欧米に比べて寿命の短い日本の住宅を長持ちさせ、良質住宅のストック市場を作ることなどを目的に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行された。さらに11月には、太陽光発電の新たな買取制度がスタートするなど、家庭部門の温暖化対策を進めるために、国が本腰を入れ始めたことが分かる。

 それに追随するように住宅メーカーや住宅設備メーカーも、省エネ技術に磨きをかけてきている。そのなかで特に注目なのが、太陽光発電と太陽熱利用を両立させたハイブリッドシステムである。

 JR横浜駅から徒歩で20分ほど、三ツ沢公園(横浜市神奈川区)に近い高台に、存在感を放つ一軒の住宅がある。南面を向いた片流れ(一方向だけにこう配が付いた)屋根に太陽光電池パネルが乗り、棟(むね:屋根の一番高い所)には煙突状の換気口と小型の風力発電装置が備え付けられている。サクラなど四季折々の樹木に囲まれ、どこか和の雰囲気を持つこの家は、実は最新鋭の省エネ、創エネ設備を搭載した実験住宅なのだ。

 「エコスカイハウス」と名付けられた横浜市・北軽井沢(西区)の家は、「パッシブソーラーシステム」で実績を上げているOMソーラー(静岡県浜松市)の技術に、三菱重工グループの最先端技術を取り込む形で共同開発を進めてきたものだ。三菱重工業グループからは、菱重エステート(東京都港区)と菱重興産グループ7社が参加している。プロジェクト自体は2008年4月にスタート、2009年2月から4人家族が実際に生活をしながらエネルギー受給にかかわるデータ取りを開始し、今年3月にはこれまでのデータをとりまとめることになっている。そして、このデータが、今後の住まいづくりの指標の一つになることが期待されている。

 エコスカイハウスで重要な役割を果たしているのが、参加企業が共同で開発した「エコスカイルーフ」である。このエコスカイルーフとは、タンデム型太陽電池とパッシブソーラーによって、太陽光発電と太陽熱利用を同時に活用するハイブリッドシステムだ。

 そのほかにも、空気の対流を利用した自然換気システムの「ソーラーベンチレーションシステム」や、地下2mの深さに蓄熱材を設置しパッシブソーラーの熱や地中熱、ヒートポンプ給湯機からの排熱を冷暖房に活用する「床下蓄熱システム」、家庭用のリチウムイオン電池、ヒートポンプ冷暖房・給湯器や風力発電装置、電気自動車(EV)用充電設備など、いま取り入れることができる最新設備に加え、三菱重工で現在開発中の新技術も積極的に導入し、近未来のオール電化住宅を先んじて体現している。エコスカイハウスの主要技術である太陽光発電+パッシブソーラーのハイブリッドシステムの開発は、国土交通省の「平成20年度住宅・建築関連先導技術開発助成事業」の補助事業に指定されている。

横浜市・北軽井沢(西区)の高台に立つエコスカイハウス
横浜市・北軽井沢(西区)の高台に立つエコスカイハウス。屋根には太陽電池モジュールと太陽熱の集熱板が乗る。棟にある煙突状のものは自然換気塔である

 さらには、国産材の積極的な活用、自然素材建材の利用、外壁ブラインド、高断熱など、建物躯体(くたい)そのものの環境性能を極限まで高めた。これらの技術の組み合わせによって、エコスカイハウスのエネルギー自給率は97%に上る。

 そして注目は、実際に4人家族が住み実証実験を行っている点だろう。「エネルギー自給率がいかに高くても、無人の状態ではあまり意味がない。実際に生活をしながら自給率97%を実現しているのが、エコスカイハウスの最大の特長」と、菱重エステートの本郷建常務は胸を張る。

 実際に、2007年度の世帯当たりの用途別エネルギー消費を見ると、暖房22%、冷房3%、給湯30%、厨房9%、動力・照明ほかが34%。暖房と給湯で半分以上の割合を占めていることがわかる(資源エネルギー庁『エネルギー白書2009』より)。家庭部門で大幅な二酸化炭素(CO2)の削減をするためには、暖房・給湯のクリーンエネルギー化と省エネが欠かせないのである。
 

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