異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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5分で学ぶ地球温暖化問題を読み解く基礎用語

石炭火力発電

2008年3月17日(月)公開

30秒でわかる簡単解説

 石炭は化石エネルギー資源のなかでも埋蔵量が豊富で、石油に比べて可採年数が長いのが特徴である。一方で、燃焼時に発生する有害物質の問題などのために、エネルギー源としての活用が敬遠されていた時期もあった。現在では、石炭の有効活用についての研究が進み、環境に配慮しながらエネルギー効率の向上を可能にする技術が実用化に向かっている。従来型の発電方式のように直接燃焼するのではなく、石炭をガス化して燃焼し、その排熱も有効利用する「石炭ガス化複合発電(IGCC)」などの技術が注目を集めている。

知識を深める用語講座

●安定供給が見込める重要な化石燃料
 石炭火力発電とは、ボイラーで石炭を燃焼させ、その熱で高圧の水蒸気を発生させて蒸気タービンを回し、発電する仕組みのことをいう。石炭による火力発電は2007年時点で、世界で消費される一次エネルギーの28%に達している。

 第二次世界大戦後に、中東で大油田が発見されると石油に取って代わられたが、産業革命以降、石炭は主要なエネルギー源として利用され続けてきた。1970年代の2度の石油危機を経て、1980年代には価格が比較的安定している石炭の需要が再び増加した。2002年時点で、日本には、電力各社が所有するものだけで35カ所78基の石炭火力発電所があり、国内で使用される電力の約20%は石炭火力発電に依存している。

 資源としての石炭の特徴は、世界中に広く分布し、埋蔵量が豊富なことにある。最近の産出量を見ると、中国が最も多く約13億t、次いで米国が約10億tで、世界では毎年約43億tの石炭が産出されている。可採年数は単純計算で約230年あり、長期にわたり安定供給が見込める。
 

●石炭火力発電の問題を解消する最新技術
 石炭の需要は今後、世界的に増加するとみられており、エネルギー効率と環境に配慮した技術の開発が求められている。石炭が抱える環境面での課題の一つは、単位発熱量当たりの二酸化炭素(CO2)の排出量が、石油や天然ガスなどに比べて多いこと。また、石炭に含まれる硫黄や窒素が原因で、燃焼時に窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が発生し、燃やした石炭からは煤塵が出ることが挙げられる。

 石炭の燃焼は、大気汚染や酸性雨などの原因となるため、高効率化およびクリーン化が求められてきた。日本は石炭火力発電のエネルギー効率向上のために、「石炭ガス化複合発電(IGCC)」をはじめとする複数の技術について研究・開発を進めている。なかでもIGCCは、石炭をガス化してガスタービン発電を行うと同時に、高温の排熱を使って蒸気タービンでも発電する技術で、排熱などのロスが少なくエネルギーを有効活用できる。さらには、タービン内の温度を高温に保つことで燃焼効率を高めることができるうえ、石炭をガス化することで鉱物や硫黄分をほぼ完全に取り除けるというメリットもある。

 国内の石炭火力発電の平均的な発電効率が約43%であるのに対し、ICGGは48〜50%。温暖化の原因であるCO2排出量も2割程度の削減を見込めるため、よりクリーンな石炭火力発電が実現できる。注目すべきは、現在、電力会社が共同で設立したクリーンコールパワー研究所が、国の補助を受けて本社のある福島県いわき市に建設している25万kW級実証プラントである。このプラントは、2009年度までに実証実験を終え、2014年度をメドに商用化をめざしている。環境負荷を低減するこれらの石炭火力発電技術は「クリーン・コール・テクノロジー(CCT)」と呼ばれており、実用化が急がれている。
 

●石炭火力発電の可能性
 石炭火力発電によるCO2排出量は世界的に急増傾向にあり、温暖化を引き起こす深刻な要因になっている。そのため、米国ではゼロエミッション石炭火力発電所を実現する「フューチャージェン・プロジェクト」、EU(欧州連合)では「第7次フレームワーク計画」、オーストラリアでは「COAL21ナショナル・アクションプラン」などの国家プロジェクトが、それぞれ進行している。これは、石炭火力発電の高効率化を進め、石炭の燃焼によって排出されるCO2を地中などに貯留する CCS のような新しい技術を開発してCCTに取り込むというものだ。複数の技術を組み合わせることで、従来型の石炭火力発電の問題を解消し、石油に替わる燃料としての位置付けを模索している。

 一方、従来型の石炭火力発電が主流である中国やインドなどでは、石炭は必要不可欠な燃料であり、今後の経済成長によって、ますます需要が増えるとされている。中国を例にすると、石炭火力発電所の平均発電効率は30〜32%程度にとどまるとみられ、高度な技術の導入による高効率化が大きな課題となっている。

 これに対して日本は、これまで培ってきた技術を提供することで、中国やインド、ベトナムにある既存の石炭火力発電所を、CO2削減の観点からクリーンにする技術改善に協力している。例えば日中間では、2007年10月に開催された「第2回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」において、既設の石炭火力発電所を対象にした、効率向上と環境改善に向けた、設備および運用上の改善提案を行うことで合意し、今後、新技術の開発と国際的な協力関係の強化を推進していく。

 日本以外でも、石炭火力発電の新技術開発について、EUは2020年までにCO2排出量を削減する政策の一部として公約している。また、米国は石油輸入を減らす手段として、自国で産出する石炭の有効活用をめざしている。

 IGCCやCCSなど、石炭火力発電にかかわる技術革新は目覚しい。資源量を考えると、火力発電のエネルギー源として主役になる可能性が大きいだけに、環境面での負荷を小さくできる革新技術の成否が注目されている。
 

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