異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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5分で学ぶ地球温暖化問題を読み解く基礎用語

バリ行動計画

2008年2月18日(月)公開

30秒でわかる簡単解説

 2008年1月から京都議定書の第一約束期間が始まった。しかし、主要排出国である米国が離脱し、中国やインドなどの途上国には数値目標が課せられないなど、実効性が乏しいものとなっている。こうした状況のなかで、2007年12月に行われた「国連気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)」には約190カ国が参加、米国や中国、インドを含む世界全体で2013年以降の温室効果ガス(GHG)削減に取り組むという意思表明である「バリ行動計画」に合意した。2013年以降の新たな枠組みづくりの道筋を決めたバリ行動計画は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の合意のなかでも重要な位置付けにある。

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●2013年以降を見据えた共同合意
 「バリ行動計画」とは、京都議定書の第一約束期間(2008年-2012年)後である、2013年以降の温室効果ガス(GHG)削減の枠組みの設定について話し合うための行程表のことである。2007年12月にインドネシアのバリで開催された「国連気候変動枠組条約第13回締約国会議及び京都議定書第3回締約国会合(COP13/MOP3)」の最重要課題として採択された。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書では、「GHGを世界的に大幅削減する必要性」が指摘されたが、バリ行動計画はこの点にも言及しており、京都議定書で定めていない、2013年以降のGHG削減の枠組みを議論するうえで重要な共同合意となった。
 

●バリ行動計画の決定事項
 バリ行動計画の合意で特に重要な点は、先進国および途上国に対して「計測・報告・検証可能な」GHG排出削減の約束、または行動を検討することが決定されたことである。

 米国を含む先進国にとっては、GHG排出量の抑制目標の文言が明記されたことにより、2013年以降の数値目標が設定される方向性が確実なものになった。一方、途上国にとっては、資金や技術の面で、気候変動対策に関わる先進国からの援助を呼び込む方向性を確かなものにした。
 

■バリ会議で決まった主要な事柄

COP13・COP/MOP3で決まった主な内容
■将来枠組み
 
2013年以降の温暖化対策を検討する会合を2008年から開催。2009年末までに下記のテーマ(構成要素)を検討し合意、採択。先進国も途上国も参加する
  • 世界の長期的な削減目標
  • 削減(緩和)
     ・先進国の削減の約束や行動
     ・途上国の削減行動
     ・業界別の削減手法など
  • 適応(温暖化の被害への対応)
  • 技術移転
  • 資金援助
並行する「京都議定書のAWG」で先進国の削減幅、世界全体の削減目標に言及
■途上国への技術移転
 
先進国から途上国への技術移転を促進。「戦略的プログラム」を検討する
 
■CDM
  • CCSのCDMは議論を続ける
  • HFC23を生産する新しい工場でのHCFC22破壊をCDMに認めるかどうか結論先送り
  • 「小規模植林CDM」に認めるCDMを従来のCO2削減量8万tから16万tに拡大
■温暖化の被害への対処(適応)
 
「適応基金」の運営団体を決定
 
■森林
 
農地化などによる森林の減少、森林の劣化を抑えるインセンティブを検討

 
将来枠組みを議論するうえで、途上国への技術支援や資金援助も主要な議題になる。CCS(炭素回収・貯留)技術のCDM(クリーン開発メカニズム)の適用には、技術の影響評価が不足しているなどの懸念が根強い。2008年以降に何らかの決断が下されそうだ
 

 このバリ行動計画の合意によって、具体的な行動計画を作るうえでの課題が明らかになり、現実的な解決策が提示された。一方で、IPCCの第4次報告書に理解を示しながらも、IPCCが報告書で述べた「先進国は2020年までに、1990年比で25〜40%削減する」ことを決めるには至らなかった。これは、EU(欧州連合)が数値目標の設定を強く主張したのに対し、米国や日本、カナダなどが数値目標の設定は今後の議論に委ねるべきとの姿勢を崩さなかったためだ。
 

●世界一丸となった取り組みへの期待
 京都議定書から離脱した米国や、現在は途上国として削減義務を課されていない中国やインドを含め、約190カ国がバリ行動計画に合意したことを受け、2009年末までの2年間にわたり、GHG排出削減のための長期的な国際目標について協議が進められる。次期枠組みに関する交渉は、「京都議定書の下での附属書 I 国のさらなる約束に関する特別作業部会(AWG)」での議論と並行して、2009年末にデンマークのコペンハーゲンで開催が予定されている「国連気候変動枠組条約第15回締約国会議及び京都議定書第5回締約国会合(COP15/CMP5)」において、すべての国々による合意をめざし交渉が進められる。

 バリ行動計画の合意などを受けて、福田康夫首相は2008年1月のダボス会議で、2013年以降のGHG削減に関する国際的な枠組みづくりのなかで、新たな「国別総量目標」の策定に主導的な役割を担うことを表明した。今年7月の洞爺湖サミットに向けて、日本政府が議長国として、京都議定書で削減義務を負わない主要排出国にも積極的な働きかけを行うことを期待したい。
 

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