異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

ECOマネジメントサイト終了のお知らせ
当サイトは、3月31日をもちまして終了することになりました。ご愛読いただきました皆様に感謝いたします。当サイト連載中の主要コラムにつきましては、4月以降、日経BP社の環境ポータルサイトであるECO JAPANで引き継ぎ公開いたします。
ECO JAPAN
コンテンツ
特集
リポート
インタビュー
コラム
人と自然
フロントランナー
ECOラボ

 
テーマで読み解く環境問題
温暖化国際交渉、COP16の意義
今回のテーマ
温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
関連キーワード

キーワード

5分で学ぶ地球温暖化問題を読み解く基礎用語

GEF(地球環境ファシリティ)

2008年2月12日(火)公開

30秒でわかる簡単解説

 気候変動問題に取り組むうえで、GEF(Global Environment Facility:地球環境ファシリティ)の役割に大きな期待が集まっている。GEFは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)など、地球規模での環境問題に関する複数の条約の資金メカニズムとして活動しており、途上国の環境対策に資金援助をしている。

 GEFによる支援は、実施機関や執行機関と共同で進められるが、その資金は、米国や日本をはじめとする先進国からの拠出金により調達されている。しかし、近年、各国からの資金だけでは限界があることが指摘されており、今後は、国連機関やNGO(非政府組織)との協働だけでなく、途上国の環境問題をビジネスチャンスとする民間企業との連携も期待されている。

知識を深める用語講座

●途上国支援を目的にした国際的資金システム
 GEF(Global Environment Facility:地球環境ファシリティ)とは、途上国や経済移行地域が地球規模での環境保全に取り組む際に、新たに負担する増加費用分を無償供与する国際的な資金メカニズムである。GEFが行う支援は、「生物多様性の保全」や「気候変動対策」「オゾン層の保護」「国際水域汚染の防止」「土地劣化の防止」「残留性有機汚染物質対策」の6分野を対象としている。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)や生物多様性条約(CBD)の資金メカニズムとして機能しているだけでなく、その他の環境条約との連携も進んでいる。

 GEFは、1991年5月に試験運用が始まり、1994年からは、20億ドル強の資金で本格実施(フェーズ1)に入った。1998年からはフェーズ2に移り、27億5000万ドルの資金規模で運営された。現在は2006年に始まったフェーズ4にあり、31億3000万ドルの拠出を予定している。日本は米国に次いで、世界第2位の資金拠出国であり、フェーズ2では約4億1500万ドルを拠出している。

 1991年の設立以来、GEFは、すでに74億ドルを無償供与、280億ドルを協調融資し、160カ国ほどの国で累計1950件の事業支援を実施してきた。このほかにも、NGO(非政府組織)などに対して、7000件以上の小口供与を行っている。

 GEFは、三つの実施機関により、投資プロジェクトの選定や資金運用を行っている。プロジェクト活動の直接的な準備と実施には、アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行、国連食糧農業機関、米州開発銀行、国際農業開発基金、国連鉱業開発機関の7機関が執行機関として働いている。
 

■世界最大の環境保全資金メカニズム

GEFの三つの実施機関とその役割
実施機関名 実施機関の果たす役割
世界銀行 投資プロジェクトの実施及び基金管理
国連開発計画 技術協力プロジェクトの実施、キャパシティービルディング、NGOや地域社会の参加促進
国連環境計画 地球規模の科学技術的分析と評価、地域越境プロジェクト

 
気候変動の影響を受けながらも、対策費用の捻出に苦労している途上国にとって、GEFの資金は不可欠なものになっている。世界銀行など三つの機関が資金の運用などに当たる
 

●GEFの役割と運用例
 GEFはUNFCCCなどの資金メカニズムとして、気候変動の分野でも、途上国のプロジェクトに資金を提供している。気候変動分野に対する支援金額は、GEFが扱う6分野のなかでも生物多様性分野に次いで2番目に大きい。

 すでに、太陽光や風力、地熱、バイオマスによる発電など、再生可能エネルギーの開発に資金を供与しており、例えば、メキシコでの2万5000 kWの太陽光発電設備とコンバインド・サイクルを連結したハイブリッドシステムの設置プロジェクトに4935万ドルを出資している。このプロジェクトでは、今後25年間で約39万tの二酸化炭素(CO2)を削減できる見通しだ。

 気候変動問題の解決に向けたGEFの支援の範囲は、このほかにも、燃料電池の導入や高効率の動力の開発、小規模再生可能エネルギー分野へと広がっている。気候変動の影響を受ける途上国にとって、GEFは問題の解決に欠かせない存在と言える。
 

●GEF活性化に期待される民間企業の参加
 気候変動と経済に関する報告をまとめ、2006年に発表された「スターンレビュー」によると、気候変動の対応策実施のための追加コストは、途上国だけで年間数百億ドルに上るとされる。1991年の設立以来、GEFが承諾した金額は累計で74億ドルに達するが、途上国が必要とする年間コストを満たすには十分な額とは言えない。そこで、2007年12月にインドネシアのバリで開催された「国連気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)」では、途上国の気候変動対策費を賄うために、クリーン開発メカニズム(CDM)によるクレジットの2%を原資とする「適応基金」の創設が議論され、暫定的な事務局としてGEFが指名された。

 一方で、GEFは、各国政府が拠出する資金によって運営されているものの、拠出金の支払いに遅延が見られることや、民間企業の関心が低く、潜在的なビジネスチャンスを生かしきれていないなどの課題が残っている。これらを受けて、GEFは、これまでの政府中心の資金調達方法を見直す方向にあり、商業的に成立する可能性が大きい気候変動プロジェクトの市場拡大に力を注ぐ意向である。今後、地球環境問題に対処する資金メカニズムという役割を超えて、途上国の生物多様性の保全や気候変動対策を広くサポートしていくことが期待されている。
 

関連サイトガイド
▲このページのトップ | HOME
荻本和彦氏のコラム

この記事の目次
GEF(地球環境ファシリティ)

国際協力 途上国支援/CDM/JI

国際交渉 UNFCCC