異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

山口光恒の『地球温暖化 日本の戦略』

国際航空部門における論議とEU ETS[中編]

一般論に終始しかつ表面的
ICAOによる取り組みの評価

ICAOの取り組みの評価(2)

 驚くのは、目標達成のコストやその経済的影響などの検討結果は、2013年に開催の次回総会を待たなければ分からない点である。コストなしの目標論議は不毛である。Annexの(h)項に、国際航空以外の部門との公平性を保つことという原則があるが、仮にこれを実行する場合、最低限必要なことは国際航空輸送からの排出量削減の技術と、技術ごとの削減量およびそのコストである。経済学の用語で「限界削減費用」と呼ぶが、これなくして国際航空以外の他部門との公平性の議論はできない。しかし筆者は、寡聞にしてこうした分析を見たことがない。

 これに関して、日本政府および航空業界の関係者にぜひ参照してほしいのが、2009年7月から2010年秋にかけて開催されたIMOの第59〜61回海洋環境保護委員会(MEPC)に提出された、ノルウェーの公平性の方法論に関する文書および、経済的手法の影響評価に関するエキスパートグループによる 報告書 である。後者には、詳細な限界削減費用の検討結果のグラフがAnnex 10に出ている。

(2)経済的手法の内容

 航空部門での経済的手法の議論は、(税や課徴金についての議論もあるが)ほとんどがキャップ・アンド・トレードとなっている。これは、目の前にEU ETSの外国航空会社への適用問題があるので、ある程度やむ得ないことと思う。しかし、海運を見ると、米国提案のように効率目標を定め、その目標達成のために取引をする案や、日本提案のように課税により一定のファンドを作るが、これを効率改善度合いの高いところに還元する手法など多様である。このあたり、ICAOの議論はまだ工夫の余地があるのではないかと思う。

(3)決議の有効性

 既述の通り、ICAOでは、各国が個別の条項に留保を表明することができる。実際に日本、米国、中国、ロシアなどがいくつかの条項に留保を付しており、決議の拘束力、換言するとその有効性が問われる。
 

山口光恒 氏山口光恒 氏 (やまぐち みつつね)
東京大学先端科学技術研究センター 特任教授

1939年神奈川県生まれ。1962年慶應義塾大学経済学部卒業。同年東京海上火災保険入社、1999年3月退社(役員待遇理事)。1996年から慶應義塾大学経済学部教授、帝京大学経済学部教授、放送大学大学院客員教授を経て、現在、東京大学先端科学技術研究センター特任教授。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会リードオーサー、OECD貿易と環境合同専門家会議日本政府代表(外務省)、産業構造審議会地球環境小委員会委員(経済産業省)、総合資源エネルギー調査会基本問題小委員会委員(経済産業省)など多数の委員を務める。

主な著書は『現代のリスクと保険』(岩波書店)、『地球環境問題と企業』(岩波書店)、『環境マネジメント改訂版』(放送大学教育振興会)、『持続可能性の経済学』(共著・慶応大学出版会)など。

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この記事の目次
国際航空部門における論議とEU ETS[中編]
一般論に終始しかつ表面的
ICAOによる取り組みの評価

エネルギー消費 交通・運輸

国際交渉 COP/UNFCCC

国際協力 排出量取引