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温暖化国際交渉、COP16の意義
コラム
山口光恒の『地球温暖化 日本の戦略』
科学とIPCC[前編]
相次ぐ政治家・メディアの誤認
信頼回復に向けたIPCCの課題
私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る──ボルテール
昨年来、科学とIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の関係が新聞紙上でも大きく取り上げられ、IPCCに対する信頼が揺らいでいるようにも思える。その代表的な例が、英イーストアングリア大学の気候調査部門から漏出した膨大な電子メールの内容を巡る疑惑であり、ごく最近では、ヒマラヤの氷河消失に関するIPCCの記述の基となる文献の信頼性の問題である。これらはいずれも、温暖化の科学、あるいはその影響についての問題である。他方、政策決定と(科学としての)IPCCの役割についても看過できない誤解がある。筆者は、たまたまIPCC第3次および第4次評価報告書の執筆に、代表執筆者(リードオーサー)の一人として参加した経験を持つ。今回の事件を機に、科学とIPCCの関係について考えてみたい。まずは、政策決定とIPCCの役割の誤解についてから始めよう。
筆者がIPCCの第3次評価報告書の代表執筆者として、初めてIPCCの会議に参加したのは1998年6月の末、場所はドイツの片田舎、バッド・ミュンスターアイフェルのホテルであった。
ここでは、初日にIPCCのロバート・ワトソン議長(当時)による挨拶(あいさつ)があり、その冒頭で執筆者に対する心構えとして、「IPCCの評価報告書(以下、IPCC報告書)は政策決定者に選択肢を与えるものであり、彼らに何をすべきかを示すものではない」との話があった。この一言が、IPCC報告書の性格を最も良く表している。これに加えて代表執筆者の役割は、その時点で公にされている(査読付き)論文を読んだ上で、これらのエッセンスを科学的・中立的な立場から整理して、政策決定者に提供することにあるとの話もあった。IPCC報告書は、代表執筆者が意見を戦わせた上で、合意した内容を書くとばかり思い込んでいた筆者には新鮮な驚きであった。
事実、IPCC報告書を注意して読むと、「私はこう思う(I believe that ……)」とか「われわれの考えでは(We think that ……)」といった表現は全く出てこない。そして、「A氏の1998年の論文ではこれこれ」「B氏の2005年の論文ではこれこれ」という具合に、原則として出典が明示されている。また、査読付き論文の間で、対立する主張がある場合には両論が併記される。この理由は、代表執筆者が自分たちの意見を書くと、反対派からIPCCは偏っているとの反論が寄せられ、最終的にIPCCの信頼性を損ねることになるので、これを避けるための配慮である。
ところが、政治家の発言やマスコミの論調を見ていると、目指すべき目標や対策の程度を、あたかもIPCC(科学)が示唆しているかのごとき誤解が多々ある。日本では、筆者を含む数名が繰り返し誤解を解く努力を続けた結果、明らかな間違いが減ってきたのは結構なことである。しかし、海外の一流紙といわれている新聞・雑誌に、いまだにこうした誤解に基づく記事が見られるのは誠に残念な次第である。
だが、この原因を調べてみると、IPCC首脳部にも責任がある場合もある。この例として、英フィナンシャルタイムズ紙(以下、FT)の温暖化担当者とのやりとりを示そう。このやりとりは2007年から2008年にかけてのものであるが、誤解はいまだに改められていない。
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松本龍・環境大臣(11/02/10) NEW | ![]() |
環境省 地球環境審議官 南川秀樹氏(10/09/16) |
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経済産業省 大臣官房審議官 有馬純氏(10/08/16) |
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ピュー気候変動センター 国際戦略部長 エリオット・ディリンジャー氏(10/03/25) |
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経済産業副大臣 増子輝彦氏(10/01/25) |
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ブレークスルー研究所 マイケル・シェレンバーガー所長 テッド・ノードハウス会長(09/12/21) |


相次ぐ政治家・メディアの誤認
信頼回復に向けたIPCCの課題
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