異常気象や海面上昇、氷河の崩壊――。温暖化による地球規模での異変が経済や社会を脅かし始めた。未曾有の危機を乗り越えるには、最先端の環境技術を十分に活用することが求められる。環境先進国・日本の新たな挑戦が始まっている。

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温暖化国際交渉、COP16の意義
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温暖化国際交渉、COP16の意義
昨年末、メキシコ・カンクンで国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催された。国連の条約に先進国の数値目標が組み込まれるなどの成果を上げた一方で、「京都議定書延長問題」の議論が激しさを増し、「ポスト京都議定書」の答えは見つからないままだ。低炭素化を目指す世界における、COP16の意義を検証する。
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コラム

鳥井弘之の『ニュースの深層』

スマートグリッドの大きな胎動
欠落する社会的意義の検証

2010年2月4日(木)公開

今回のニュース

 2010年1月12日の日本経済新聞朝刊が、「日本風力開発、英に次世代送電網、基幹技術供与、海外を開拓」との見出しで、英国の次世代送電網(スマートグリッド)事業に乗り出す日本企業を紹介した。また、この記事では、再生可能エネルギーの拡大や省エネルギーに有効とされるスマートグリッドが、世界的な流れになりつつあり、高い技術力を持った日本企業の進出が本格化することを伝えている。

 しかし、スマートグリッドの概念自体が統一されていないため、普及に不可欠な国際標準化には多くの困難が予想される。温暖化対策に有効な新しい技術を生かすためにも、社会的意義の十分な議論が必要だろう。

動き出したスマートグリッド

 「日本風力開発は、英国で次世代送電網(スマートグリッド)を構築する」という趣旨の記事を掲載したのは、2010年1月12日の日本経済新聞朝刊であった。プロジェクトの現場は英国北部のオークニー諸島で、この地域には合計2万5000kW分の風力発電所と7000kW分の波力発電所があり、さらに2万kW分の風力発電所の建設が計画されている。そこへ、大規模なナトリウム硫黄(NAS)電池を導入して送電網全体で需給の調整を行うという。さらにこの記事では、技術の国際標準作りが進行するなか、欧米ではスマートグリッドの本格的な建設も始まっており、高度な電力制御技術を持つ日本企業の進出が本格化するとのコメントが付記されている。

 また、2010年1月19日の日経新聞朝刊は、「次世代送電網試験システム、東芝、沖縄電から受注」という見出しの記事を掲載した。沖縄電力が宮古島で行う実証実験は、4000kWの太陽光発電を新設し既設の電力系統に接続、気象条件などで出力が変動した場合に電力系統がどんな影響を受けるのか調べるというもの。

 さらに、2010年1月20日の日経新聞朝刊は、経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム協議会」がスマートグリッドに関する中間報告をまとめたと報じた。協議会の看板を「スマートグリッド推進協議会」に衣替えし、電力系統や家庭、地域間で、電力や排熱を融通し合う相互補完関係の実現を目指して2030年までのロードマップを作成するそうだ。

 米オバマ政権が、環境対策の目玉として取り上げたスマートグリッドだが、世界中を巻き込んで本格的かつ具体的な動きが始まろうとしている。今回はスマートグリッド構想が浮上してからのニュースを追ってみる。

 日本の新聞に「スマートグリッド」という用語が初めて登場したのは、2009年2月15日の日経新聞朝刊であったと思われる。米国の景気対策法策について報じた記事のなかで、「環境・エネルギー分野では、投資による雇用創出案(グリーン・ニューディール)も幅広く盛り込み、次世代電力網(スマート・グリッド)関連に110億ドルなどを投じる」と伝えた。

 その内容について2009年3月4日の朝日新聞夕刊は、「単なる送電線ではなく、双方向でつなぐIT(情報技術)を使い、電力を作る側と使う側の情報を管理、使う側も調整する」(一部省略)とし、「スマートグリッド関連は将来、携帯電話並みの巨大市場に発展する可能性もある」とする産業技術総合研究所の近藤道雄氏の談話を紹介した。

 さらに、2009年3月16日の朝日新聞朝刊は、「家庭やオフィスビル、工場にスマートメーター(双方向通信機能を持つ次世代型電力メーター)を設置、刻々と変わる電力需要を把握し、無駄なく発電する」「変動が大きい風力や太陽光などの自然エネルギーの発電の調整もしやすくなる」と紹介した。そして、2009年3月15日の日経新聞朝刊は、日本政府が取りまとめる成長戦略に、スマートグリッドの実証実験が盛り込まれるとした。
 

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この記事の目次
スマートグリッドの大きな胎動
欠落する社会的意義の検証

エネルギー技術 再生可能エネルギー

エネルギー消費 建築物/家庭部門

エネルギー政策 日本/米国/欧州