SOSプロジェクト 民間企業が資金拠出する生物多様性保全基金

2010年12月20日

ノキアの参加で弾みつくSOS 世銀も生物多様性への投融資を加速

日経BP環境経営フォーラム

 SOSプログラムの第1号参加企業としてノキアが参加した。プログラムの資金提供機関である世界銀行は、SOSのほか、トラ基金や、ホットスポット保全プロジェクトを進め、生物多様性への投融資を加速させている。

「『種を守る』は、訴える力がある」

 絶滅危惧種を保全するための大規模な基金「SOSプログラム」が、2010年10月のCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)で正式に発足し、基金に融資する第1号の企業として、フィンランドの携帯電話メーカー、ノキアが名乗りを上げた。

 SOSは「Save Our Species」(地球上の種を救え)の略。途上国支援を進める世界銀行、地球環境プロジェクトへの最大の資金提供機関であるGEF(地球環境ファシリティ)、世界のレッドリストを公表している国際環境団体IUCN(国際自然保護連合)が共同で立ち上げた、種を保全するための国際的なプログラムだ。世銀とGEFが合計1000万ドルを出資し、さらに企業からの出資を募り、その基金をもとに、世界に約1万人の専門家を抱えるIUCNが保全計画を立てて世界各地のNGO(非政府組織)と協力して保全活動を展開する。世銀などの国際機関が参加する大規模で信頼性の高いプログラムで、出資・参加する企業は自社製品にSOSのロゴマークを付けてブランディング戦略に利用できるのが特徴だ。

 SOSプログラムでは、年間出資金額に応じて、「リーダー」「チャンピオン」「サポーター」「フレンズ」の4つのランクがある。第1号企業のノキアは、出資金額が最も多いリーダーとして参加し、3年間で150万ドル(合計約1億2500万円)拠出する。

 ノキアの持続可能性担当副社長のキルシ・ソルムネン氏は、SOSプログラム参加の背景をこう説明する。「9カ国に生産拠点、16カ国に研究開発拠点、160カ国に販売拠点を持つノキアにとって、環境への責任は重大。原材料の調達から生産、販売、リサイクルに至るまで製品のライフサイクル全体を通して持続可能性を追求することが大切だ。世界各地にステークホルダーがいる当社にとって、ローカルな地域ごとに自然保護に寄与することが大切だと考えた」。SOSプログラムはIUCNの保全計画の下、地域での保全活動を大規模に展開できる。

 もう1つの理由は消費者へのアピールだ。「現在、世界では50億人が携帯電話を所有し、そのうち13億人がノキア製品を所有している。携帯電話の使用を通じて消費者の生活意識を変えることも大切だ。携帯電話は人々の環境意識を変える手助けになる」(ソルムネン副社長)。消費者の意識を変える取り組みの1例が、「green channel」というサービスだ。ノキアのユーザーに提供しているインターネットサイトで、気候変動やリサイクルを学ぶコンテンツを提供したり、カーボンフットプリントを計算したりできる。世界遺産を携帯で訪れる「green travel」というサービスも提供している。

 ソルムネン副社長は、「Save Our Species」が掲げるもう1つのメッセージ、「Save Our Selves」(種を守って、私たち自身も救え)に共感したことも挙げる。生物多様性を守ることが人間の生存も守ることにつながるというメッセージは、「一般の人に訴える力がある。当社のサステナビリティー活動と一致する」(ソルムネン副社長)。

COP10でのSOSプログラムの記者会見。GEF議長のバルビュー氏(左から2人目)、ノキアのソルムネン副社長(同3人目)、世銀のゼーリック総裁(同4人目)、IUCNのルフェーブル事務局長(右端)

1 2 |

復興日本

聴くエコマム

High Ecology Low Carbon 創エネ住宅の時代へ

東京国際環境会議2011

グリーンテクノロジー&マネジメントシンポジウム2010

ecomom 国際森林年