羽ばたく次世代エネルギー

2010年8月2日

日本のベンチャーが牽引する海洋温度差発電

金子憲治、花澤裕二、半沢智(日経エコロジー)
瀧本大輔、山根小雪、小瀧真理子(日経ビジネス)

海水面と深海の温度差を利用して、作動流体の気化と液化を繰り返し、タービンを回す。最近、“正味の電力”を生み出すことに成功した海洋温度差発電。日本のベンチャーがタヒチ近海で事業化調査を進めている。

 海洋温度差発電の仕組みは、液体の物質(作動流体)を海水面で気化させ、その蒸気でタービンを回して発電、蒸気を深海水で冷やして再び液体に戻し、それをまた海水面で気化させる――というサイクルになる。

 発想は画期的だが、実際には、生み出した電力は、深層水をくみ上げるポンプの動力に使われてしまい、正味の電力が得られなかった。この壁を打ち破ったのが佐賀大学の研究者が開発した「ウエハラサイクル」で、新型の熱交換機やサイクル設計の効率化などにより正味の電力を得られる段階までになった。

 この技術の将来性に目をつけ、佐賀大学から技術ライセンスを取得して事業化に乗り出したのがゼネシス(東京都港区)だ。同社は今年2月、仏領ポリネシアのタヒチ島近海における海洋温度差発電プロジェクトのFS(事業化)調査業務を受注した。

 洋上にプラントを浮かべる方式で、5000kW以上の発電を想定する。同島は2020年までに一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を45%にまで高める方針を掲げている。現在、水力発電で約25%を賄っているが、海洋温度差発電で目標達成を狙う。

 「FS費用の半分をフランス政府が負担するなど、フランス自体が非常に熱心。FSと並行して実機建設に向けた話し合いも進めている」と、ゼネシスの里見公直社長は話す。

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