日本の温暖化対策を進めようと、国内クレジット制度やJ-VER制度において、森林の活用が注目されている。山村再生支援センターが開いた第2回山村きぎょうセミナーから、東京農業大学総合研究所の牧恒雄・研究事業部長による国内クレジット制度に関する講演を紹介する。
大企業の支援で中小企業がCO2削減

「国内クレジット制度」は政府の試行的な国内排出量取引制度の一部として2008年10月に開始された。大企業が資金を出し、中小企業がそれを活用して、共同でCO2を削減するための仕組みだ。CO2を削減できた分だけ国内クレジットが発行される。これを大企業が自らの削減目標の達成に使うというわけだ。
CO2の排出削減は、京都議定書の目標が達成されれば終わる問題ではない。日本が未来の世代や世界の環境に貢献できる国になるには、持続可能な安定した仕組みづくりが必要だ。
国内クレジット制度は、企業活動でやむを得ず多くのCO2を排出してしまう大企業と、CO2を削減したいものの資金が足りない中小企業の両方にメリットをもたらす。加えて森林由来の木質バイオマス(生物資源)を利用すれば、日本の社会全体にメリットがもたらされる。例えば重油の代わりに樹皮を燃料に使いたいが新しいボイラーを買う資金がない中小企業を、大企業が国内クレジット制度を利用して支援する。大企業は、自らの削減目標の達成(これは業界単位の経団連自主行動計画にも反映される)と同時に、木質バイオマス燃料を供給する山村を支え、国内の森林整備に貢献できる。
全世界で1年間に生産されるバイオマスをすべて燃料として活用しても、世界で使われている全エネルギーの1割しか賄えないといわれる。しかし、小さなことでも確実に一歩一歩やっていかないと排出削減には貢献できない。
また、化石燃料の使用量の削減や農山村の活性化は、日本の重要課題。手入れされた森林は河川の荒廃を防ぎ、地域を発展させる。だから日本にとっては、森林再生に役立つ安定した持続可能なシステムをどうやって作っていくかが重要なポイントになる。国内クレジット制度はもちろん、オフセット・クレジット制度(J-VER制度)といった、企業が排出削減のためのクレジット購入という形で森林や山村に資金を出す仕組みは、持続可能なシステムづくりに貢献しそうだ。
国内クレジット制度の参加・利用は、企業にとっては義務ではないが、自主行動計画に参加している大企業には、目標達成と同時に国内の環境・経済的な支援につながることから、ぜひ、進めてもらいたい。



















