2009年11月18日

新成長論 東京大学サステイナビリティ学連携研究機構 村沢義久氏

“大企業の常識”を覆す 電気自動車のスモールハンドレッド

東京大学サステイナビリティ学連携研究機構 特任教授=村沢義久

スモールハンドレッドの登場

 鳩山政権が打ち出した「2020年までにCO2を1990年比で25%削減する」という大きな目標に向かって、電気自動車に対する期待が益々高まっている(参考:筆者の提案するEV普及策)。東京モーターショー2009でも、新たに発表されたプラグインハイブリッド車と並んで注目の的だった。しかし、電気自動車の本格普及にはまだまだ障害が多い。特にガソリン車に比べて高価格であることと航続距離が短いことがネックだが、これらはどちらも電池の問題に集約される。

 2009年7月、三菱自動車は世界初の量産型電気自動車「i-MiEV」を発売し、電気自動車時代の先陣を切った。しかし、その価格は軽自動車のサイズながら460万円で、国の補助金を使っても320万円になる。東京都や神奈川県などの自治体の補助金制度を最大限に使っても200万円を超える高価格である。さらに航続距離は公称160kmとガソリン車の3分の1である。エアコンを使うなど、走行の仕方によってはもっと悪くなる。これでは電気自動車の普及はしばらくおぼつかないと大方の人々は思うだろう。

 ところが、いま電気自動車の世界では、これまでの自動車の発展とはまったく異なる事態が起こっている。内燃機関がコアになるガソリン車では難しかった、ベンチャー企業の誕生や異業種からの参入が相次ぎ、これまでの常識を覆すやり方で障害の克服に挑んでいるのである。筆者はこれら新興の電気自動車企業群を「スモールハンドレッド(注)」と名付けた。彼らは「ビッグスリー」に代表されるこれまでの自動車産業とは違った技術開発やビジネスの仕方を生み出す可能性を秘めている。

注:100社単位のベンチャー企業、異業種からの参入企業が出てくることを指す。筆者の造語。
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