古田尚也:連続解説「生物多様性と世界と日本」

2009年11月16日

焦点は「ポスト2010年目標」 企業への影響は?―1年後に迫った名古屋会議展望

古田尚也:連続解説「生物多様性と世界と日本」(6)

2010年10月に名古屋で開催される生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)が1年後に迫ってきた。このシリーズの最終回となる今回、あらためてCOP10の主要議題と企業活動にとっての意味、そして日本企業に対する期待について整理する。

1年後に迫った名古屋COP10

生物多様性条約COP10のロゴとスローガンが決まった

 さる10月15-16日に開催された「神戸生物多様性対話」では、日本政府によるポスト2010年目標日本提案が発表されるなど、生物多様性条約のCOP10開催を1年後にひかえ、国内外でさまざまな動きも活発化してきた。

 COP10については、すでにその暫定的なアジェンダが条約事務局から発表されている。この中で、以下のアジェンダは企業活動にとって関連が深い項目であると考えられる。特に、「ABS(遺伝資源へのアクセスと便益の衡平な配分)に関する国際枠組み」(Item3)と、いわゆるポスト2010年目標である「改定戦略計画、生物多様性目標、指標」(4.2)の2つが今後の大きな枠組みを決める重要な議題として注目される。

企業活動に関連すると考えられるCOP10のアジェンダ
ABS(遺伝資源へのアクセスと便益の衡平な配分)に関する国際枠組み (Item 3)
改定戦略計画、生物多様性目標、指標(4.2)
資金動員戦略 (4.4)
技術移転と協力(4.6)
民間部門等との協力 (4.9)
海洋と沿岸生物多様性 (5.2)
生物多様性の持続可能な利用 (5.5)
生物多様性と気候変動(5.6)

 ABSの問題は遺伝資源の利用に関連している業種にある程度その影響は限られている。一方、ポスト2010年目標は、その目標がどのようなものとなるかにもよるが、政府、地方自治体、事業者、市民といったあらゆるセクターに影響を与えるものになるであろう。

 現在の生物多様性2010年目標は、2002年のCOP6で決議された条約の実施計画の一部を構成するものである。具体的には、“…世界、地域、国の各レベルにおいて貧困削減と地球上の全ての生命の利益のために、2010年までに現在の生物多様性損失のスピードを顕著に減少させる…”と記述されており、これを具体化するために、COP7では、7つの焦点領域と、11の最終目標、21の目標が設定された。

 また、この目標は2002年に南アフリカでのヨハネスブルグで開催された国連持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)で、各国元首によって採択されたヨハネスブルグ実施計画の中でも追認され、2007年には国連ミレニアム開発目標の第7目標Bにも書き加えられた。

2010年目標/生物多様性条約戦略計画とは?
COP6 Decision VI/26:生物多様性条約戦略計画
 ミッション: 「締約国は、貧困の低減及び地球上の全ての生命の利益への寄与として、生物多様性条約の3つの目的の効果的かつ一貫した実施及び世界、地域、国レベルにおいて、現在の生物多様性の損失速度を、2010年までに顕著に減退させることを約束する」

COP7 Decision VII/30:戦略計画 将来の進捗評価
 7つのフォーカルエリア、11の最終目標、21のターゲットを設定

COP8 Decision VIII/15: 2010年目標達成進捗のモニタリング枠組
 2010年目標達成の進捗を評価するための指標群を採用
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