日経エコロジー特集

2009年8月25日

光熱費の節約効果で差 「エコキュート」「エコウィル」利用者の本音

住宅のエネルギー争奪戦(2)

金子憲治、相馬隆宏、久川桃子、山根小雪(日経エコロジー)

家庭におけるエネルギー使用量の約3分の1を占める給湯。電力陣営の「エコキュート」とガス陣営の「エコウィル」「エネファーム」、そして太陽熱利用設備。給湯市場でぶつかり合う高効率機器の利用実態を探った。

オール電化

 「マンションから一戸建てになって面積も2倍近くなったのに、光熱費は約半分。効果は予想以上」。こう話すのは、昨年12月にオール電化住宅を神奈川県鎌倉市に新築し、太陽光発電システムも設置した河口直子さんだ。

夜間電力をフル活用

 現代の便利な暮らしには電化製品が必要だが、その電気を少しでも自然エネルギーで作りたい。河口さんはそんな思いで、太陽光発電の設置を最初から決めていた。

 パナホームに相談したところ、太陽光発電のメリットを生かせるのはオール電化住宅という説明とともに様々な値引きを提示され、心が決まった。出力2.5kWの太陽光発電と合わせて、貯湯タンクの容量が370Lのヒートポンプ給湯機「エコキュート」を導入した。

 夫と6歳の息子の3人で暮らす河口さんは、当初、湯切れに不安があった。だが、エコキュートは、どの時間帯にお湯をたくさん使うかを学習する機能を備えているため、ほぼ問題なく使っている。

 オール電化住宅で光熱費を下げるポイントは、電気料金が割安な夜間電力を積極的に利用すること。電気料金は時間帯別に3段階に分かれていて、午後11時から午前7時までが最も安い。そこで、洗濯機と食器洗い乾燥機はタイマー機能を活用して午後11時以降に運転させている。

 さらに、電気料金が上がる午前7時になる前に部屋が暖まるように、冬場のエアコンは午前6時40分に電源を入れる。電気料金が最も高い時間帯になる午前10時までに掃除機もかけておくといった徹底ぶりだ。

 下に、光熱費の変化を示した。オール電化に切り替えてガス代がなくなっただけで、約半分になっているのがわかる。太陽光発電の売電収入が約2000円あるため、光熱費が1万円以上浮く月も珍しくない。

●河口さん宅の光熱費の変化

 一戸建て住宅だけでなく、オール電化マンションの人気も高い。

 石橋由美子さんが東京都多摩地区にある現在のマンションに引っ越したのは3年前。モデルルームを回るうちに、IHクッキングヒーターに魅了された。

 「火力が強くて掃除も楽。IHがあることがマンション購入の絶対条件になった」

 最初はライフラインを電気だけに頼ることに不安もあった。しかし、災害時にはガスより電気の方が復旧が早いこと、エコキュートにお湯がたまっていることから貯水にもなると説明を受け、迷いはなくなった。

 夫との2人暮らしで、電気とガスを合わせて月2万円前後だった光熱費が、マンションの広さが1.5倍になったにもかかわらず、引っ越し直後、半額になった。

 驚いた石橋さんは、節電するのが楽しみの一つになり、コツコツと工夫を重ね、今では約7000円まで減った。洗濯は電力を多く消費する乾燥機能もよく利用するが、割安な夜間の時間帯に使うので気にならないという。

 築30年以上の家をオール電化へリフォームしたのが、大阪狭山市の山本礼子さんだ。LPガスから都市ガスへの切り替えが進んでいた地域だったが、山本さんの家は道路から奥まった所にあり、ガスを引くのに100万円程度必要だった。

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