構成・文/林愛子
ホンダ「インサイト」やトヨタ「プリウス」が市場を沸かせた2009年上半期。しかし、エコカー減税などの政策にも、メーカーが打ち出した戦略にも、さまざまな問題点がある。これから日本の自動車産業が発展していくために必要なことは何か。ECO JAPANでコラムを連載中の菰田潔氏、清水和夫氏、中谷明彦氏が本音の議論を交わす。
アイドルストップ機構を広めてほしい
――日本の自動車メーカーが、世界をリードする環境技術を磨けるかどうかは、日本経済全体に影響を及ぼす重要なテーマだと思います。これから注目すべき環境技術には、どのようなものがあるでしょうか。
清水:内燃機関を置き去りにしていることが日本メーカーの過ちです。トヨタは「プリウス」を発売して12年になりますが、その間にガソリン車はほとんど進化していません。ベースになるガソリン車の環境性能を磨かずに一気にハイブリッドカー(HV)へシフトしたんです。例えば、トヨタもホンダもアイドルストップ機構の技術を持っているのだから、まずそういう技術を全車種に展開するくらいのことをしてもいいのはないでしょうか。
菰田:アイドルストップ機構はほかの環境技術に比べてデメリットになる部分が少ない。小型車から大型車までほぼ確実に燃費を高められ、効率よくCO2を削減できる優れた技術です。アイドルストップ機構の搭載によるコスト増や重量増はわずかなものです。(アイドルストップ機構を付けた)マツダの「アクセラ」を見れば明らかです。
メルセデスの新型Sクラスのマイルドハイブリッドの場合は約75kgの重量増だそうですが、それでも僕の体重より軽い。男性一人分程度の重量負荷で、燃費が10%から15%向上するのだから、もっと普及させてほしいですよね。走行環境によって燃費の向上度合いに差はありますが、優れた技術であるのは間違いないのですから。
――内燃機関の開発ではマツダが水素エンジンを視野に入れた新しいエンジンを用意していますよね(参照記事「“水素”を選んだマツダの環境戦略」)。
中谷:マツダはHVも電気自動車(EV)も出していないので、内燃機関に注力せざるを得ないというのが本当のところでしょう。でも、あえて言えば、せっかく開発しているのだから徹底してやってほしい。環境のためにもっとできることはあるはずなんですけどね。
清水:マツダの開発担当の金井(誠太)専務執行役員などから聞いた話を総合すると、HVでは勝負できないから、アイドルストップ機構やクリーンディーゼル、さらに自前のトルコンAT(トルクコンバーター式オートマチックトランスミッション)で勝負する戦略のようです。水素エンジンなども含めて、まだまだ内燃機関はこの先50年は使える技術ですからね。
燃料で言えば、まず天然ガスを手掛けて、高圧ガス燃料を扱う技術を磨きながら、水素へつなげるというロードマップがある。その間にはバイオエタノール、バイオディーゼルも必要でしょう。バルブトロニックや直噴といった技術もありますから、内燃機関でできることは、まだまだあるんですよ。マツダはそこにかけていると思います。




















