日経エコロジーリポート

2011年12月14日

動き出す本格除染【2】現場を担う地元企業

ゼネコンも地力発揮

金子憲治、半沢 智(日経エコロジー)

福島県内の企業が除染作業のノウハウを高めつつある。ゼネコンは、重金属による土壌汚染対策技術の応用を目指す。

 10月4日、除染の知識と技能の習得を目的とした講習会が福島県郡山市で2日間の日程で開かれた。県主催の講習会はこれが初めて。12月までに5回開催し、約1000人が受講する。ほとんどが県内の中堅・中小企業の社員だ。講義終了後、試験合格者には修了証を交付する。

 除染の現場を担うのは、地元の企業になる。建設・土木会社、工務店をはじめ、高所作業に慣れた塗装会社、汚染物質に詳しい清掃、廃棄物処理会社などだ。

鹿島は菜の花で除染も

 第1回講習で修了証を得た庄建技術(福島県南相馬市)の高橋正則技術部長は、「すでにグループ企業が学校を除染した。今後は新たな除染技術を提案し、地域の除染に貢献したい」と意気込む。

 伊達市建設業協会の会長を務める利根川組(福島県伊達市)の利根川靖典会長は、「地方の建設会社は、公共事業の縮小でここ10年リストラを続けてきた。それが震災復興で来年3月まではどこも大忙しだ。もともと冬は雪で除染は難しい。来春以降、本格的に除染を担うことになる」と話す。

 相対的に低線量で自治体が主導する地域は地方の建設会社を中心に除染が進み、警戒区域や計画的避難区域など国直轄の高線量地域の除染、仮置き場や中間貯蔵施設の建設、汚染土壌の減容では、ゼネコン(総合建設会社)など、全国規模の企業も出番が増える。また、千代田テクノル(東京都文京区)など原発内の放射線防護などで高度なノウハウを持つ企業も、今後、高線量の除染作業に力を発揮しそうだ。

 鹿島建設の塚田高明・環境本部本部長は、「放射性セシウムの除染では、重金属による土壌汚染対策で培った技術が生かせる」と言う。

■重金属汚染対策技術で放射性汚染土壌へ対応できる可能性
■重金属汚染対策技術で放射性汚染土壌へ対応できる可能性
鹿島建設は、溶出防止策のうち封じ込めと分級洗浄、植物浄化に着目する(左)。大成建設は、福島県内の教育建築に仮置き場の施設を建設した(右)。コンクリートパネルで囲むので、遮へい効果が高く、廃棄時に解体しやすい

 今の除染は、土壌を除去するか、盛り土や上下置換で線量を下げる方法だ。「今後は、除去した土壌を封じ込めて地下水への漏えいを防ぐ技術や、中間貯蔵施設に移す前の分級洗浄が重要になる」(塚田本部長)。鹿島は重金属による土壌汚染対策で実績がある。

 「分級洗浄」とは、土壌を水で洗浄しながら粒径の違いにより、砂や粘土などに分けること。セシウムは粘土に付着するので、砂を除いた分だけ減容できる。強酸で処理すれば、粘土からセシウムだけを分離できるが、廃水処理の負担が大きく、コストを考えれば分級洗浄までが現実的という。

 さらに同社は、「ファイトレメディエーション(植物浄化)」にも取り組む。植物洗浄とは、汚染地で植物を栽培し、土壌中の汚染物質を吸収させて汚染濃度を下げる手法。ヒマワリが期待されたが、農水省の実証研究で除染効果が小さいことが確認された。「菜の花はセシウムをよく吸収するとの報告がある。来春から汚染地で菜の花を栽培し、バイオディーゼル燃料を製造する事業に乗り出したい」と塚田本部長は言う。同社は、廃水や廃液をほとんど出さない、新しいバイオ燃料製造技術を持つ。

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