海野みづえ(創コンサルティング社長)
企業を取り巻く経営環境が大きく変化している。新たなビジネスモデルの構築につながるイノベーションの糸口として、「サステナビリティ」が世界中で注目され始めた。グローバル市場に挑むうえで、企業はこれまでの経営のやり方(Business as usual)の延長では生き残れず、企業経営のあり方にパラダイムシフトが必要になっているのである。
「サステナビリティ」が経営のメガトレンドに
経営コンサルティングの米マッキンゼー社が2010年に実施した調査(※1)では、世界の多くの経営幹部が、サステナビリティが経営に及ぼす影響を無視できない、と認識している。
・ 一方で、「実際にサステナビリティに積極的に投資し、事業活動に組み込んでいる」との回答者は30%程度である。
・ これは、サステナビリティの定義が明確にされておらず、企業によって取り組み姿勢が異なるためと考えられるが、「本質的な企業価値を高める」という点では多くが賛同している。特に株主価値の向上との関わりについては、回答の76%が長期において、また50%は短期においてさえサステナビリティが寄与すると答えている。
・ なかでも、「企業の評判やブランドに及ぼす影響が非常に大きい」という回答は72%にのぼる。社会から良き評判を得るためにも、サステナビリティを意識することが重要である実情がうかがわれる。
また、経営学者のマイケル・ポーターは、CSR(企業の社会的責任)を事業戦略に統合するという「戦略的CSR」を発展させ、「コミュニティの経済と社会の状況を促進させると同時に、企業の競争力を高める方針や事業活動」として”Creating Shared Value(共通価値の創造)”を提唱している(※2)。サステナビリティを、企業価値に結び付けるコンセプトを強調しているのである。
欧米の経営トップの間では、
環境、社会、ガバナンス(ESG)プログラムは、成長をサポートし、資本リターンを改善し、リスクを低減し、経営品質を改善する様々な方法によって価値を創造しうる(※3)
と考えられている。
「要請されるから取り組む」という受け身のCSRの時代は終わり、サステナビリティに対して積極的な認識がもたれ、ビジネスの新たなメガトレンドになっているのである(※4)。そこで世界のビジネスリーダー達は、このメガトレンドのなかで独自のうねりを起こそうと様々なビジネスモデルを練り、サステナビリティ戦略を競い合っている。
(※2)Michael E. Porter and Mark R. Kramer “Creating Shared Value”, Harvard Business Review, January-February 2011
(※3)Sheila Bonini and others “Valuing social responsibility programs”, McKinsey on Finance, Summer 2009
(※4)David A. Lubin and Daniel C. Esty “Sustainability Imperative,” Harvard Business Review, March 2010




















