日経エコロジーリポート

2010年2月10日

太陽光発電に不可欠なパワコン 田淵電機がシェア半分を握るわけ

環境で伸びる中堅・中小企業:田淵電機

藤田 香(日経エコロジー)

 「2020年に20倍の容量を」との掛け声のもと、日本の家庭に急速に広がり始めた太陽光発電システム。各社の太陽電池パネルが製品化される中、同じ形状の屋根に同じ性能の太陽電池パネルを載せても、取り出せる電力は家庭によって異なることを知る人は案外少ない。

 カギを握るのが、電力制御装置(パワーコンディショナー、以下パワコン)だ。パワコンは、太陽電池パネルで発電した直流(DC)を、家庭で使える商用電源の交流(AC)に変換する装置。その性能いかんで、電力量は変わり、毎月の電気代にも影響を及ぼす。

 太陽光発電システムの縁の下の力持ちともいえるこのパワコン市場で、飛躍しているのが田淵電機だ。同社のパワコンは国内市場の約半分のシェアを占め、大手家電メーカーの太陽光発電システム向けに全量納入されている。インバーター事業(パワコンが大半)の2009年度の売上高は80億円と、前年度の2.3倍という大きな伸びを見込んでいる。

●中容量のパワーコンディショナー
2010年4月に発売の予定
●インバーター事業の売上高推移
注)太陽電池用パワーコンディショナーが主

 同社のパワコンが高い市場シェアを獲得しているのは、変換効率が高く、それでいて他社製品と同等ないし若干安価なことが魅力だからだ。そこには自然エネルギーを扱う高い技術力がある。「自然エネルギーの電気は使いにくい。その時々刻々と変化する品質の低い電気を、お金で買ってもらえる高品質な電気(商用電源の電圧)に変えるところにノウハウがある。しかも、マイコンを極力使わず回路を組み合わせて変換する。当社の技術者たちは、電気の波形の“宮大工集団”といえる」と、田淵電機の阪部茂一専務取締役は胸を張る。

 宮大工集団は、日本の屋根の特徴も熟知してパワコンの技術に生かしている。日本の屋根は寄せ棟造りが多い。通常、太陽電池パネルは南、東、西向きの屋根にそれぞれ搭載し、太陽光を最大に利用できるようパネルの数や角度を変える。

 例えば南の屋根に10枚のパネルを載せて100Vを取り出すとする。東の屋根には何枚を載せるのか。スペース的には7枚載せられ、70Vを取り出せるとしよう。しかし、パワコンに入力する際、100Vと70Vの違いが問題になる。通常は電圧をそろえてパワコンに入力する。そのために昇圧ユニットを接続する。ただし、昇圧できるのは2倍、3倍と倍数だ。このため、東の屋根はパネルの数を5枚に減らして50Vにしなければならない。西の屋根も同様だ。この結果、搭載できるパネルの数が限定され、利用できる太陽光は減る。

●他社の方式

 これに対し、田淵電機のパワコンはパネルの数を最大限まで増やせる。南、東、西それぞれのパネルの直流電圧をDC-DCコンバーター(直流-直流変換装置)でそれぞれ変換し、電圧をそろえた上で交流に変換する。この方式により、東の屋根には6枚、西の屋根には7枚と、スペースいっぱいにパネルを載せられ、太陽光をフルに利用できる。

 田淵電機の方式は昇圧ユニットや接続箱で損失することもないため、パワコンの変換効率がそのままシステム効率になる。パワコン内で太陽電池パネルの電圧と商用電源の電圧を絶縁し、屋外設置にしたことで、安全性を高めているのも特徴だ。

●田淵電機の方式
MPPT=最大電力点追従制御
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