理想主義アプローチの限界
2010年のエネルギー・環境政策を見通すに当たっては、昨年の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)を振り返る必要がある。デンマークのコペンハーゲンで開催された COP15では、政治合意文書の採択は見送られ、「合意に留意する」との結果を得るにとどまった。ここで得られた最大の教訓は、「京都議定書型のトップダウン方式で、世界の温室効果ガス(GHG)排出量に規制をかけることは極めて困難である」ということだ。
1997年の京都(COP3)でできたことが、なぜコペンハーゲン(COP15)ではできなかったのか。それは、97年から2009年までの間に、中国やインドなど新興国が目覚しい経済発展を遂げ、世界における地政学的な力関係が大きく変化したからだ。
現在は、「G2」と言われるように、多くの国際交渉で米中が主導する場面が増えてきた。また、従来は「途上国」の一言でまとめられてきた国々が多様化し、それぞれ異なる立場から意見を表明するようになってきた。従って、国際会議の場が「先進国対途上国」というような単純な構図ではなくなっている。今回の COP15においても、それが如実に表れた格好だ。
中国やインド、ブラジル、それに南アフリカといった経済的発展を遂げている新興国は、排出量削減目標の義務化に対しては、自国の成長を優先させるため、結束して徹底的に反対している。
新興国以外の途上国は、先進国に対して援助の拡大を要求するという点では新興国と一致しているが、これまでの援助が新興国に奪われているという意識が強いため、結束は一枚岩ではない。
また、中東の産油国は、過剰な温暖化対策の義務化が石油やガスの需要を低下させるとして、強い警戒感を持っている。
そして、ツバルのような島しょ国は、物理的に国土を存続させるため、先進国に対して2020年には90年比で45%もの排出量削減を求めている。



















