文/川端由美・モータージャーナリスト
米政府の手厚い支援を受けて、自動車ベンチャーのフィスカー・オートモーティブが、プラグインハイブリッド車(PHV)の量産に向け着々と準備を進めている。2012年には年間10万台超を生産する計画だ。
「新工場では、2012年中ごろをめどに年間10万台のPHVの生産を開始する。既に発表している『カルマ』(下の写真)よりも小型の車両で、価格は4万ドル程度を見込んでいる。この工場は30万台程度の生産能力があるので、さらに車種を拡大していく予定だ」
2009年12月、フィスカー・オートモーティブ(米カリフォルニア州)のCEO(最高経営責任者)、ヘンリック・フィスカー氏は、筆者の取材に対しPHVの量産計画をこのように説明した。同社は2007年、高級車に独自のデザインを施すフィスカー・コーチビルドと、エコカー関連技術を開発するクワンタム・テクノロジーズが共同で設立した。

2009年1月にはPHVの「カルマ」を発表。アルミ製ボディにゼネラル・モーターズ(GM)製エンジンを搭載し、クワンタムが開発したプラグインハイブリッドシステムを組み合わせた。燃費は約42.5km/Lで、価格は8万7900ドル。独ポルシェが生産を委託するバルメットが、2012年から年間1万5000台を生産する予定だ。
ベンチャーながら資金調達力は高く、カタール投資庁(QIA)や大手投資会社クライナー・パーキンスから資本を得ている。
技術面でも、車体の軽量化に効果的なアルミスペースフレームの技術を持つアルコアの副社長が参画。GMで電気自動車の「EV-1」やPHVの「ボルト」を開発した技術者が、車両を開発している。
さらに、米政府からの手厚い支援を受けている。2009年9月に、米エネルギー省が先端技術車両製造補助金制度に基づく5億2870万ドルもの低利融資を承認。その資金を利用して、閉鎖されていたGMの工場を1800万ドルで買収した。それが冒頭の発言にあった新工場だ。
この工場が立地するデラウェア州は、不況のあおりを受けて工場閉鎖が相次いだ地域だ。ジョセフ・バイデン副大統領の出身地でもある。フィスカー氏と副大統領が並んで記者発表を行った際、5000人の直接雇用を生むフィスカーの新工場は大歓迎を受けた。現在、全米自動車労働組合(UAW)と協議中で、2010年前半の合意を目指している。



















