文/相馬隆宏(日経エコロジー)
日本の2008年度の温暖化ガス排出量(速報値)が公表された。リーマン・ショックの影響を受けて産業部門の排出量が大きく減少。京都議定書第1約束期間の1年目は、“想定外”の順調な滑り出しとなった。
環境省の取りまとめによると、2008年度の温暖化ガスの総排出量は12億8600万tで、前の年度から6.2%減った。京都議定書の基準年(CO2は1990年度)と比べると1.9%増えた。ただし、電力会社が京都メカニズムを活用して海外から取得した排出枠約6400万t分を日本政府に無償で供出したため、京都議定書上の排出量は基準年比3.1%減に相当する12億2200万tとなった。
日本は、温暖化ガス排出量を2008〜12年度の平均で基準年比6%削減することを京都議定書で約束している。6%のうち、3.8%分をCO2の吸収源である森林の整備で、1.6%分を政府が海外から排出枠を購入することで減らすと決めているため、実質的には残りの0.6%分が産業・民生部門の削減目標になる。2008年度は基準年比3.1%減なので、2.5%余分に削減したわけだ。

目標を大きく上回った要因は、リーマン・ショックに端を発した景気後退。経済産業省によると、2008年9月に99.3だった稼働率指数は2009年2月に60.5まで急落。GDP(国内総生産)とエネルギー起源CO2排出量は前の年度と比べて、それぞれ3.2%、6.7%減り、60年代に統計を取り始めて以来の史上最低値を記録した。
2009年度も温暖化ガス排出量は低水準の状態が続きそうだ。電力業界と鉄鋼業界は2008年度からの5年間で合計3億t超の排出枠を取得する計画であることを考えると、厳しいとみられていた目標の達成が現実味を帯びてくる。



















