2009年09月16日

日経エコロジー 編集部の目

民主政権発足で終わる経産省主導の温暖化対策

金子憲治(日経エコロジー副編集長)

「自主行動計画」というもたれ合い

 民主党による鳩山内閣が発足した。環境大臣は鳩山首相の側近で環境政策に詳しい小沢鋭仁氏、経済産業大臣はマニフェスト(政権公約)をまとめた直嶋正行氏となった。これに加え、外務大臣は同党の温暖化対策を一貫してリードしてきた岡田克也氏だ。「2020年までに温暖化ガスを1990年比で25%削減する」との同党の公約を環境外交の場で打ち出す布陣が整った格好だ。鳩山首相は今月末にも国連総会で「25%削減」を表明する見通しだ。これによって、国内の温暖化対策は、新たな局面を迎えることになる。

 それを象徴するのが、経済産業省が示した「25%削減は国民負担が過大」との見解と、環境省・小林光事務次官の「25%削減は可能」というコメントのズレだ。今後、温暖化対策は、経済産業省主体から、民主党による政治主導に転換し、霞ヶ関では環境省の役割が相対的に強くなっていく可能性が高い。

 そもそも京都議定書の目標達成に向けた国内温暖化対策は、典型的な政官財のもたれあいの構図であった。

 京都議定書での日本の削減目標である「90年比6%削減」は自民党政権による政治決着であったが、具体的な対策は経産省にほぼ丸投げされた。政府の「目標達成計画」には省庁横断でさまざまな施策が並んでいるものの、実質的に目標達成に貢献しているのは、産業界の自主行動計画への締め付け、それも電力業界と鉄鋼業界との一種の“密約”である。

 日本経団連傘下の各業界団体は、自主的に温暖化ガス削減に向けた目標を掲げている。あくまで「自主」だが、経産省は毎年、その達成度合をフォローし、指導している。そのなかで温暖化ガスの排出量が突出している電力と鉄鋼業界、つまり電気事業連合会と日本鉄鋼連盟については、目標未達成の場合、海外から排出枠を購入して埋め合わせることを約束させている。

 その結果、電力業界は公表値で1億9000万t、鉄鋼業界は5900万tの排出枠を既に購入している。費用は推定でそれぞれ数千億円に上る。この政策手法は極めて日本的な「行政指導」によるものだ。

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