日経エコロジー 編集部の目

2009年4月28日

日立の表示違反があぶり出した製造側の本音

再生紙偽装と同根 環境性能の軽視が命取りに

文/金子憲治(日経エコロジー副編集長)

消費者に弁償をしないワケ

 日立製作所の子会社の日立アプライアンス(東京都港区)が、4月20日、公正取引委員会から景品表示法違反(優良誤認)で排除命令を受けた。この事件には、環境経営を揺るがす、2つの問題点が潜んでいると思う。

 それは、「リサイクル材の利用」という環境性能を本質的な“性能”と見ない企業の本音と、CO2削減率を安易な前提で少しでも大きく見せようとする、自己申告型の表示やアピールの危うさだ。そこには、業種は異なるものの、昨年世間を騒がせた再生紙偽装とまったく同じ構造が透けて見える。

 まず、事件の経緯を振り返ってみる。問題となったのは、日立アプライアンスが、2008年9月に発売した冷蔵庫「栄養いきいき 真空チルドV」と「ビッグ&スリム60」両シリーズ9機種。これらの製品カタログやポスターなどで、「業界ではじめて、リサイクル材を活用した真空断熱材を採用」「真空断熱材の製造工程でのCO2排出量は約48%削減」などと記載していた。しかし、実際にはリサイクル材は一時期、3機種の一部に使われただけだった。

製法の工夫や廃プラ活用により、製造時のCO2削減効果が大きいとアピールした真空断熱材(左)

 公取委の排除命令を受けて、同社はカタログをすべて回収し、制作し直した。ただ、製品そのものに関しては、「冷蔵庫としての性能は表示の通り」(日立製作所・広報)として、あえて製品回収はしない方針だ。

 日立アプライアンスのリサイクル材の利用に関する不当表示とその対応は、業種は違うものの再生紙偽装と同じ問題点が潜んでいる。つまり、環境性能への認識に対する製造側の本音をのぞき見ることができる。

1 2 | 3 | 4 |

本当は容易でないリサイクル材の量産 >>

復興日本

聴くエコマム

High Ecology Low Carbon 創エネ住宅の時代へ

東京国際環境会議2011

グリーンテクノロジー&マネジメントシンポジウム2010

ecomom 国際森林年