資源・エネルギー ニュース

2010年8月23日

九州電力、世界初のY系超電導線材を使った電力用超電導変圧器技術を開発

 九州電力は、レアアースのY(イットリウム)を含む超電導線材を使った電力用超電導変圧器技術を世界で初めて開発した。電力系統で事故が起きた際に発生する短絡(ショート)電流と強大な電磁力に耐えられる性能を実証し、実用化に向けて前進した。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの受託事業で、九州大学、財団法人国際超電導産業技術研究センターや、電線メーカーと共同で開発した。

 超電導変圧器は、特定の金属や化合物を超低温に冷却した時に電気抵抗がゼロになる超電導現象を利用した装置。変圧器の巻線に銅線に代わって超電導線材を使用し、超低温状態を保つために装置全体を液体窒素などで冷却する。既存の油入り変圧器と比べて小型・軽量化でき、エネルギー損失を大幅に削減できることが特長。

 実用機の50分の1の容量、400kVAの試験用超電導変圧器を作り、超電導線材には銀と銅による独自構成の安定化層を付加し、実用機と同じ容量の電流を線材あたりの短絡電流として流せる仕様にした。短絡試験では、変圧器を液体窒素によって零下207℃に冷却。6900Vの電圧を0.2秒間加え、通常流せる最大電流の約6倍、1040Aの短絡電流でも正常に動作し、試験後に変圧器の巻線に異常がないことを確認した。

 電流が最大になる前に瞬時に電流を抑制する新たな「限流機能」についても実証。事故時の大電流で変圧器の巻線の超伝導状態が崩れて電気抵抗が発生する「常伝導」と呼ばれる状態に移る現象を利用した。試験のために容量10kVAの限流機能付き超電導変圧器を開発し、短絡試験では電流を1200Aから43Aへと30分の1に抑え、瞬時の電圧低下も抑制できることを世界で初めて確認した。

 今後は、開発した超電導変圧器で低損失技術の実証を行い、2000kVA超電導変圧器システムの開発を経て、従来変圧器と比べ損失が6分の1になる2万kVA級配電用超電導変圧器の早期実用化を目指していく。(日経BP環境経営フォーラム

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