2008年に循環経済促進法を制定した中国で、循環型社会構築に向けた動きが本格化している。今年3月に採択した第12次5カ年計画には全国50カ所に「都市鉱山」(中国語も同じ)のモデル基地を建設する計画を盛り込んだ。5カ年計画に都市鉱山という言葉が登場したのは初めてのことだ。もちろん、お手本は最初に「都市鉱山」の発想を生んだ日本である。
廃棄物から金属回収
筆者が「都市鉱山」の現場を初めて目にしたのは、今から10年ほど前、同和鉱業(現・DOWAホールディングス)の子会社、小坂製錬(秋田県小坂町)を見学したときである。DOWAと小坂製錬は田中貴金属工業と共同で、廃自動車触媒から白金などを回収するリサイクルを事業化している。廃棄物としか思えないモノから高価な貴金属を取り出す様は、打ち出の小槌を連想させた。
小坂製錬では、廃触媒からの白金回収のほか、廃電子部品や廃基板、コネクター、プレスくずなど多様な廃品から、金、銀、銅など様々な金属資源をリサイクルしている。小坂はDOWAの非鉄精錬事業の発祥の地といえ、かつてこの地域で産出する「黒鉱」と呼ばれる鉱石から金、銀、亜鉛、鉛を生産していた。培った製錬技術を現在は金属リサイクルに生かしている。抽出元が黒鉱から使用済み製品や廃品に替わったのだ。
見学したバックヤード(原料置き場)には、全国の企業などから処理を委託された使用済み製品の山があった。筆者のような素人には、廃棄物処理施設のゴミ置き場とほとんど見分けがつかない。お世辞にもきれいとは言いにくい作業環境だっただけに、ここで現代の“錬金術”が行われていたことは驚きであった。
もちろんDOWAの人たちが使用済み製品を廃棄物として扱うことなど決してない。金属を含有する鉱石と同じように大切に扱っていた。それもそのはずで、使用済み製品は鉱山から持ち込まれる鉱石より金属の含有量が高いという。彼らは使用済み製品の宝庫である都市の廃棄物と廃棄物予備軍を都市鉱山と呼んだ。
非鉄精錬技術を生かした金属リサイクルは現在、DOWAの成長の柱になっている。
この都市鉱山の発想を中国が環境・資源政策やビジネスに取り入れようとしている。




















