「20代の男女は、ケチだからクルマも買わないし、お酒も飲まない」――。マスコミや企業はよくこんなふうに嘆く。
確かに、間違いではない。アサヒビールお客様生活文化研究所の調査によれば、今や、20代で「貯金が趣味」と言い切る人が約2割いる。バブル経済を多少なりとも経験した30〜40代と比べると圧倒的に節約派が多い。
とはいえ、「ケチだから」というのがクルマや酒に無関心な理由のすべてではない。背後には、20代の男女に特有の「エコ志向」が隠れているのだ。
「飲んで何になるんすか?」
私は2008年秋に、書籍『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)を執筆した。その2年ほど前から20代の男女約100人に取材を続けてきた結果、見えてきたのは、「エコ=周りに優しい」「エコじゃない=周りに迷惑をかける」という20代すなわち草食系世代の意識だ。
例えば、20代の男女に「なぜクルマを買わないのか」と尋ねると、「高価だから」「維持費がかかるから」と並んで、こんな答えが多く返ってくる。
「クルマは環境汚すでしょ。グレーな悪役ってイメージ」
「子どものころ、親に『クルマは危ないから近寄るのやめなさい』って何度も言われた記憶がある」
よく聞いてみると、ここで親が言う「危ない」という言葉には、「事故に遭うかもしれない」というイメージとともに、「運転ミスで誰かを傷つけるかもしれない」というニュアンスが含まれていた。
クルマは「エコじゃない乗り物」という意識とともに、「他人に迷惑をかけるかもしれない」という危惧がある。
酒についても、クルマによく似た傾向がある。
「ビールって、飲んで何になるんすか?」。20代の若者たちに、何度こう聞かれたことかわからない。「だって、飲むと楽しいじゃない」と返すと、決まってこう言う。
「シラフでだって、ガンガン盛り上がれますよ」
「酒ってジュースより高いし、何も残らない。もったいないじゃないすか」
酒は金もかかるし、飲んでも酔いが覚めれば終わりだから「ムダだ」「エコじゃない」と言わんばかりだ。思わず、「これだからケチな世代は!」と食ってかかりそうになったが、そこをグッとのみ込んでさらに聞いてみると、草食系世代の意外な本音に気づいた。
それは、「飲んで酔っ払うと、周りに迷惑がかかる」という気持ち。
少しだけ飲んでほどよく酔えば楽しいのは、20代の若者も知っている。しかし、飲み慣れない酒を無理に飲んで酔っ払えば、周りに迷惑がかかる。そうなる自分が、極端に嫌なのだ。
実際、昔から父親が家でよく酔っ払っていたり、「酔って帰って来て玄関で寝込んでいた」といったシーンを目撃していた草食系世代ほど、「酒が嫌い」「飲んで何になるんすか」と漏らす割合が高かった。




















