「そんなに利益は出せません」
最近、ある工務店からこんな問い合わせが来ました。
「うちで家を建てるお客様が太陽光発電を設置したいと言うのですが、わが社は今まで取り扱ったことがないんです。そちらで施工してもらえますか?」
「できますよ」と答えながら、詳細を話してもらいました。すると、その工務店はとにかく太陽光発電に関してはまったく分からないので、見積もりから商品仕入れ、施工、各種申請業務まですべて任せたいという。いわゆる「丸投げ」です。そして、金額の話になった途端、次のようなことを言われたのです。
「利益はできれば20%、最低でも10%は欲しい」
工務店としては、従来の住宅設備機器の設置にはそれぐらい、場合によってはそれ以上の粗利益をとっているので、当然の要求でしょう。
しかし私は太陽光発電の市場相場や、現在は補助金をもらうために上限価格が決められているといった業界の事情を説明して、「元請けでも粗利益は20%程度ですから、御社が10%も利益を取ることはできませんよ、せいぜい5〜7%です」と答えました。しかしその方は、どうも私の話が信じられないようで、次のように聞いてきました。
「そんなに儲からないのですか……。しかし、大手の住宅メーカーでは安く売っていますよね。利益があるから、安売りもできるのではないですか?」
現在、太陽光発電はただでさえ品薄になっていますから、ハウスメーカーも特別安く仕入れられている訳ではありません。パターン化された工法であれば、工事代は若干安くできるかもしれませんが、それもわずかなものです。それでも住宅メーカーが安く販売しているのは、太陽光発電の利益を度外視しているからです。なぜなら太陽光発電は今、話題の商品なので、それだけでお客の目を引きます。
つまり、彼らハウスメーカーにとって太陽光発電は、単にお客を呼び込む道具でしかありません。太陽光発電そのものでは利益を取らず、場合によっては赤字を出したとしても、家のほうで利益を取れるので、それでかまわないという戦略です。
以上のことを説明して、「自社の利益を削ってもやる、というのなら問題ないのですが」と言うと、結局その方は「そんなに儲からないなら、やってもしょうがない」と言って電話を切ったのでした。



















