谷口正次:資源ウォーズと地球と生態系
コンゴ民主共和国から手を引く欧州企業
かねてより非人道的な武装勢力の資金源になっていると批判されていたコンゴ民主共和国での鉱物資源調達から欧州企業が撤退を始めている。アフリカの人権問題や環境問題などに強い関心を持つ欧州の市民団体の圧力などが背景にある。世界各地の資源に大きく依存している日本。鉱物資源調達で日本企業のCSRも問われている。
武装勢力の資金源
9月18日のロイター通信によると、英国の非鉄精錬大手のAMC社が、アフリカのコンゴ民主共和国(以下、DRコンゴ)産のスズ鉱石の購入を中止すると発表した。
その理由は同社によると、精錬子会社がこれまで、違法に取引されたスズ鉱石を買わないように努力をしてきたが、人権団体によるネガティブキャンペーンや国際メディアの批判によって企業の評判が傷つけられたためということである。
DRコンゴの東部、東南部では金、銅、コバルト、スズ、タンタル、ダイヤモンドなど豊富な鉱物資源が産出される。これらが長年、反政府軍やルワンダ解放民主軍(FDLR)といった非人道的な武装勢力の主要な資金源となってきた。FDLRは1994年に隣国ルワンダで起きた大虐殺にも関与したフツ族系武装勢力である。
国連安全保障理事会は昨年、コンゴの鉱物資源が違法に取引されるのを防ぐためにコンゴへの武器輸出禁止を延長し、鉱物資源の収益が紛争の火種にならないようにAMC社やその他の企業に認証制度を設けることを促していた。
国連や人権団体によるプレッシャーが原因でコンゴ東部の鉱物資源購入を取りやめた企業は、AMCが初めてではない。国連の専門家によると、ベルギーの鉱物資源商社であるトラキシー社の場合、2007年にはスズ鉱石を1631t、タンタル鉱石を226t、FDLRが支配している鉱山からコンゴ人の会社4社を通して意識的に購入していた。ちなみに、スズもタンタルも携帯電話やゲーム機などの電子部品に欠かせない金属である。
同社は、事業の正当性は主張しながらも会社の評判を気にして、2009年5月になってコンゴ東部からの鉱物資源を買うことを中止した。
コンゴ東部の北キヴ州と南キヴ州を併せて、アフリカ最大のスズ輸出をしてきた商人たちは、数千人にのぼる零細採掘業者の収入源を奪うものだとして、圧力を強める国連を非難している。採掘量の約70%がAMC社の精錬子会社に供給されていたので、鉱山からスズを買い集める業者たちが生き残ることは難しいという。AMC社にとって、コンゴのスズに対する依存度はこれまで25%〜50%であった。

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