首脳会談でもGNHが話題に
日本では8月末に行われた総選挙で政権交代が実現し、次期首相が確実な鳩山由紀夫・民主党代表の「温室効果ガス25%削減案」(中期目標、1990年比)を巡って賛否が渦巻いているが、世界には全く異なる視点から「成長と環境保護のバランス維持」に取り組んでいる国がある。北に中国、南にインド、西にネパールを持つ人口65万の小さな王国・ブータンである。
この国を少しでも知っている人なら、ブータンの人々が日本人と非常に多くの共通点(衣装や言葉、それに習慣など)を持つということと同時に、この国が提唱するGNH(Gross National Happiness:国民総幸福量)という概念・言葉を聞いたことがあるだろう。筆者は8月の末から9月の初めにかけて実際にこの国に行って、世界でも非常にユニークな、そして関心を集めつつあるGNHという考え方をしているブータンで実際に何が起きているのかを見る機会があった。
実は、我々がブータンに行っている間に同国のティンレイ首相が日本を訪れており、麻生太郎首相と30分に渡って会談をしていたようだ。帰国してから知ったが、会談内容については 外務省のサイト にあり、その場でも当然GNHについて話題が及んだようで、サイトには
1. (麻生首相から)86年の国交樹立以来、皇室・王室を含む要人の交流や経済協力を通じた友好関係が進展してきている。ブータンでは昨年3月の下院議員選挙、憲法制定等政治的に重要なプロセスが成功裏に終了し、本年は地方選挙が予定されている等、引き続き民主主義の定着に向け真摯に取り組んでいることを評価
2. (ティンレイ首相より)日本は開発のパートナーとして、農業、インフラ、教育分野等への支援を行って頂いた他、最近では、議会制民主主義への移行に対する支援を頂き感謝する旨述べた。続けて、ブータンの民主化については、前国王のイニシアティブにより進められてきた、ブータン国民は立憲君主制を誇りに思っている
3. また、ティンレイ首相より、ブータンにおいては、「国民総幸福量(GNH)」を開発政策の一つの指標として用いているとの説明があり、麻生総理より、「GNH」は、大変興味のある考え方であり、参考となるところが多いと思っていると述べた。(抜粋)
とある。この文章だけでも、ブータンがアジアの小国でありながら、世界に対してGNHというアイデアを積極的に売り出そうとしていることがわかる。今の世界の主要国が経済の指標としているGNP(Gross National Products:国民総生産)に対して、GNHとはどういう考え方なのか。どこがメリットなのか。この議論を始める前に、その「GNHというアイデア」の元となったポブジカという村の話を今回はしよう。GNHという考え方が環境に与える影響、国の指標としての妥当性などに関しては次回にする。




















