100年以上前から存在したヒートアイランド
「ヒートアイランド」という言葉はよく知られているが、地球温暖化と混同している方は意外に多いかもしれない。地球温暖化とヒートアイランドは、気温が高いという点では同じだが、似て非なるものである。
ヒートアイランドは直訳すれば「熱の島(heat island)」となる。東京都江東区の“夢の島”ならぬ、“熱の島”とは一体どこにあるのだろうか。
もちろん、土地として存在する島ではない。目には見えないが、都市部ならどこにでもできる熱のドームである。このドームは風の弱い日に気温を細かく計測すると出現する。気温分布を描いて、等温線を見ると、都市部の気温は郊外に比べて高く、高温域が熱の島のように浮かび上がるのである。
ヒートアイランドは都市特有の現象で、地球温暖化とは別の要因によって引き起こされている。知っているようで知らないヒートアイランド現象。その歴史から実態について、帝京大学教授で首都大学東京名誉教授でもある三上岳彦氏への取材を基に解説しよう。

19世紀には、すでに英国ロンドンの中心部が周辺地域に比べて、気温が高いことが知られていた。当時は、都市ならではの気候ということで「都市気候」と呼ばれていたという。
日本では、気候学の権威として知られる福井英一郎氏が、1937年の春先に車4台を使って移動観測をし、東京都心が練馬区よりも気温が5℃高いことを観測したのが初めてといわれる。現在の練馬区は都内で最も暑くなる地域だが、この時のデータは夜間の観測値であり、まだ都市化が進んでいなかったこともあって、練馬は都心よりかなり気温が低かったようだ。
このような現象は冬の夜間に現れやすいものとして研究されていた。しかし、夏の日中でも同様の現象が確認され、1970年代になると、都市部での夏の暑さに対して、「ヒートアイランド」という言葉が使われるようになった。



















